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115話 仕方がないのでエルフの里を救いにいきます。もぐもぐ。

 ある日、唐突に連中は現れた。森の中の里一つを攻めるには些か大袈裟な程の集団ーー三千の武装集団がエルフの里を蹂躙したーー

「私達も当然応戦した。数では劣るが森の中での戦闘でそうそう遅れは取らない。そう考えていた。しかし結果は惨敗だった。女子供や長老を人質に取られ、この首輪を付けられた」

 何故簡単に制圧されたのか?

「我らは森の木々に紛れ、樹上から矢を射り魔法を放つゲリラ戦術を好む。だが連中は森の木々を伐採し平坦地とする事で、我らの優位性をスポイルしてしまった」

 犠牲者は?

「それが……少数の犠牲者は出たが、捕虜にする事を主目的にしているようだった」

 捕虜はどうなっている?

「水晶玉でスキルを調べられ、帝国に連行されて行く者もいた。扱いに関しては生かさず殺さずと言った感じだ。我らは、森の中の索敵はエルフが適任だろうと言う事で……この首輪が有る限り逆らえん」

 現在の帝国の駐屯兵力は?

「おおよそ五百といった所だろう。エルフ対策として魔法無効化(ディスペル・マジック)を使える魔法使いが複数いる。その他は騎士、兵士、魔法使い。まあ一般的な編成だろう。エルフの弓矢対策に重装備の連中が多いか」

 帝国がエルフの里に侵攻した目的は?

「分からん。だがスキルを調べた上で連行して行く者を決めていたようなので、そのあたりが関係しているのだろう」

 最後に、侵攻に際して何か気付いた事はなかったか。

「そうだな……奴らの指揮を執っていたのは軍人ではなかったようだ。小太りの少年に見えた。上下黒の服だった」

*****

「という様な感じなんですが。モグモグ」 
「大方は予想通りだね。駐屯している兵が予想より多いけど。やっぱり帝国の狙いはエルフのスキルだろうというのは間違いなさそうだ。はぐはぐ」

 尋問から得られた情報から、お姉ちゃんがそう結論付けた。
 ヒメの尋問に意外にもあっさりと、しかもかなり協力的に答えてくれたエルフの五人の捕虜たち。帝国には奴隷にされ、あたし達には捕虜にされ。しかもこめかみに銃口を突き付けられながら半笑いで答える姿は少しばかり同情を誘う。
 でもヒメは。

「シルトやラーヴァさんのお母様への仕打ち、ラーヴァさんの扱いを思えば生かす価値すらない種族と思うのです。ぱくっ」

 と、激おこで銃口をゴリゴリやりながら尋問してた。

「しかし、これで帝国の思惑はある程度はっきりした訳だ。やはり皇帝の野心は変わらぬらしいな。ラーヴァとシルトを思えばエルフなどどうなっても構わないのだが……お? これはいい具合だ」
「でも、みすみす帝国の思惑通り進ませるのも癪なんだよね~。あ~ん」

 メッサーさんもエルフにはかなり悪い印象を持っている。エルフを目の前にして、その事を隠しもしない物言い。でも、このまま放置しては帝国の計画通りになっちゃう。
 そう、ヒメとレン君のそもそもの目的は皇帝の暴走を止める事。エルフの里を助けるのはいろいろ複雑な思いもあるけど、やっぱりやらなきゃいけないと思うんだ。

 そんな中で一人難しい顔で考えてたレン君が口を開いた。

「帝国兵から指揮官の少年とやらの情報を聞き出したい。ガツガツ」

 ああ、黒服の小太りで上下黒服っていう……

「そいつが本当に召喚者なら厄介な事になる。あっ! それ俺の!」

 レン君の一言でみんな重苦しい雰囲気になってしまった。ここにいるみんながレン君の知識がこの世界にどれだけの影響を与えるか身に染みている。
 銃の事もそうだけど、魔力操作の訓練法や宿場町の設営とか、戦闘に関わらない所でも革命に近い事を起こしているんだもの。

「レン君と同じ様な知識を帝国が手に入れている可能性がある、と? モグモグ」
「あー、そのー、多分、なんだがー……」
 
 なんだろ? メッサーさんの質問に、急に歯切れが悪くなったのよね、レン君。

「俺の予想通りなら、その召喚者は俺より知識の引き出しが多いと思う。どんなスキルを持っているかは知らないが、出来れば直接の殴り合いに持ち込みたいトコだなぁ。あ、ここスジだ!」

 なんだかレン君が凄い嫌そう。何故に?

「いやあ、その、小太りの体形ってのが引っ掛かる。ソイツがバカならいいんだが、全て分かった上で帝国に力を貸してるって言うならかなり面倒だ。頭で戦ってくるタイプだな」
「なぜ小太りだとそういう予想になるんだい?むぐ。」

 それ、やっぱりメッサーさんも気に掛かるよね?

「ああ、引き籠って色々と、ね? ほら、外に出て身体を動かさないから太っちゃう訳で」
「なんだかよく分からないが注意はしておこう。それで、この捕虜たちの処遇と私達の今後の行動だが……しかし美味いな、ドラ肉は」
「あ! メッサーさん! それは私が育てたお肉です! 酷いです!」
「まあまあ、ヒメ。俺のこれやるから」
「まあ! レンの育てたお肉を!? うふふふふ♪」

 えっと、真面目に打ち合わせをしていたのは間違いないの。でもお腹がペコペコでね。ドラ肉バーベキューをしてた。エルフさん達は口から涎ダラダラ。

「そこでダラダラになってる五人には、辺境伯領へのメッセンジャーになって貰いましょうよ?」

 うん。我ながらグッドアイデア! こんな捕虜を五人も連れて、敵中に乗り込めないわよ。

「なるほど、現状のエルフの里の状況を知らせる訳か。それでシルト、私達はどうする?」
「決まってます! エルフを解放して長老を一発か二発か……まあ気の済むまでブッ飛ばした上で、全エルフに全力で土下座して貰いますっ!!」
「あははっ! 百倍の戦力差がある相手に殴り込みかい? シルトはこう言ってるがどうする?みんな」

 あたしの提案を聞いたメッサーさん、本当に可笑しそうに笑う。

「ボクとしては、出来ればエルフ諸共殲滅したい所だけど……エルフ共の全力土下座は見ものだね。ボクは乗った!」

 お姉ちゃんゲット!

「私は責任というものが有りますので……エルフを解放するのに否やは有りません。」

 ヒメゲット!

「俺はヒメを守る。以上」

 レン君ゲット! こら、ヒメ! さりげなくレン君にくっつかないの!

「ふふふ……どうやら全員一致だね。帝国にまで変な異名が轟かなければいいが」

 メッサーさんゲット! ふふ、イングおにい、ごめんね? 

 さて、あたし達、これより修羅になります♪

 

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