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光☆忍法、桜花の燦照明

「忍者のニイちゃん、何やら歌い始めたわ」
「ふっ、響彼方。チャラけた奴。だが奴は伝説の光忍法の使い手。何か考えがあるはずだぜ!」
 周が薄目を開け、顎を上げて、スケートリンク上の響を見る。
「光の次に星マークを入れておいてね!」
「おう」
(光☆忍法?)

「♩桜の花、(やいば)。揺れ惑う桜の枝花、笠にして」
 響は、両手首を後ろに組んで、両脚を揃え気味に前後させつつ氷盤を蹴って滑走しつつ、丸い額を(あらわ)しながら軽く両手を振ってスケートリンクの逆位置に相対する板額に声を掛ける。
「スケートリンク。(たいら)。時期外れ。ふふ、時を超えてきた貴女達にとって、うってつけの晴れ舞台というところですか」
「ほほ。心に刃を忍ばせた、光忍法とやらの血化粧を施すがよかろう!」
 板額が氷盤を刃で蹴って響に襲い掛かる。
「いよいよかっ!」
「ええっ?」
「あれっ?」
 響は板額に迫られ、相対しながら背面滑走を開始した。
「あちゃー!そこは激突する場面やろ!」
 響が板額に微笑み掛ける。
「この方が、お聞かせし易いかと思いまして。予告します。この歌を終えるまでに、貴女を倒して差し上げましょう」
(ろう)たし。されど氷の上の寝物語にするが良かろう!氷技!桜おろしっ!」
「では、光☆忍法っ!」
「ああっ!」
「な、なんやてー!」
「あれはー!!」
「なっ!?」
 薄桃色の花びらを散りばめた氷盤が、陽光を煌めかせながら板額の足下で爆発する。
『桜花の燦照明(シャンデリア)っ!!!』
「きゃああーっ!」
(あね)さん!!!」
「ほう、防爆性能もありましたか。回転膨張力で服の弾力を維持させるとは」
 板額は三十回転跳躍をしながら爆発を逸らして、スケートリンクに片足で着氷し、脚を閉じつつ後退滑走して響からの距離を取る。
「種明かしをしましょう。僕は滑っている間、花びらに紛れさせながら、要所にナトリウムの粒を撒いていたのです。貴女が力を加えた瞬間に、氷が溶解して(やいば)と化すように」
「ええい!」
「♩思い出の(やいば)で支えあえば、そんな風に、か弱いあなたと心通わせる」
 響と板額が、滑走を再開させる。
「響とやら!」
「はい」
「お(ぬし)天驤(てんじょう)、見え隠れしておる」
「さすがですね」
「あの者を我らの戦いに巻き込んで良いのか?」
「それも『女王』との宿命でしょう?」
 板額が眉間を(しわ)ばませる。
(これよりは異能の戦い)
「おおっ!」
「あああーっ!」
「響くーん!!?」
絶花(ぜっか)聖鎌(セイレーン)っ!!!』
「うわああああっ!!」

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