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第65話 Welcome to ようこそモンス島パーク!

 俺の名前はタケシ・ヤギ、聖女親衛隊タケシ班の班長だ。
 夏休み前の班同士の戦いで優勝しちゃったので他のタケシ班メンバー――といってもレダウが同室のメルテル曰く何をしても全く目を覚まさなかったらしく、代わりにマギヤがトロイノイさんを連れて来た――聖女ことヴィーシニャさんと共にモンス島パークという遊園地にやってきたが……なんていうか、エントランスからすごく混沌としている。
 出迎えのマスコットキャラクターがどっかで見たことある気がする二足歩行で耳にリボンのついた白い猫だし、フリーパスも兼ねてるチケットに描かれてるのは多分どっかで見たことある黄色のウサギっぽい耳のネズミ的なあれだし、なんか時々どっかで聞いたことある甲高く短い笑い声が聞こえるし……。

 呆然と立ち尽くしているとマギヤに心配の声をかけられた。
「どうしましたタケシさん、事務の人が手配してくれたチケットのおかげで、並ばずパークに入れたと言うのに。体調でも悪いんですか?」
「いや、体はいつも通りなんだが、こう、情報量が多くて、ちょっと……」
「そうですか? 今年の夏はあまりゲストキャラキャンペーンがないので、情報量は少ない部類だと思うのですが……もしかしてパークは初めてですか?」
 初めてだよ……、と俺はマギヤに力なく返事したら、ああ……、という微妙な声のあと、こう続く。
「あそこのキャラ達の他に声やシルエットしか出せない伝説のあのお方一柱(ひとはしら)と、ゲストキャラが二体いるんですが覚えられます?」
 マギヤが指差す先で俺とマギヤ以外……というか女性陣や他のお客さんらが、あの猫や黄色ネズミ的ななにかの着ぐるみ達に、特に何の違和感も持たず接しているのが見える。
 ……俺は『伝説のあのお方一柱』というパワーワードに直接ツッコミを入れる気力なく、マギヤと共に着ぐるみ達に近付く。

「それにしても着ぐるみとはいえ、随分とトロイノイに……おや、近くで見たらこの黄色ネズミは妹さんの方ですね」
「い、妹さん?」
「ほら、尻尾の先がハート状になっているでしょう? あ、でも……着ぐるみの中身が女性とも限りませんし……中身を透視して場合によっては――――」
 おいやめろとマギヤを止めようとしたら「またあの甲高くて短い笑い声が!」
「甲高く短い笑い声、ですって……? それ、三つの(まる)でシルエットが作れる伝説のあのお方の笑い声ですよ……! また、と貴方は言いましたけど、今まで何回聞いたんですか?」
「え、確か……さっきのも含めて十回ぐらい――って、どうしたマギヤ?!」
 どういうわけか、片手で頭を抱えしゃがみ震えるマギヤ。そんな馬鹿な……という小声だけが聞こえた。

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