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第3話 彼女の名前

 もちろんです、私のせいなんですから」
彼女の手を借りて彼女の家まで歩いた。
彼女の家は木造の和風な家だった。
なんかほかの家とは雰囲気が違うな。
「お邪魔します」
「どうぞ、何もないところですが……」
彼女はそう言ってどこかに消えてしまった。
急な用事でもできたのだろうか。

 いろいろ考えながら彼女の家の中を見たのだが、あるのは2,3個の家具と布団だけ。
一人暮らしだとしても、この家具の数は明らかに少ないのではないのだろうか。
もしかして、お金があまりないのだろうか。
彼女を探そうと思って動こうとしたのだが、足の痛みがまだ引いていなかったので、しばらく安静にすることになってしまった。
何か面白そうなものはないかな。
玄関にいるから外の様子は見えるが、白黒の家くらいしか見えなかった。
逆に美しく感じてきた。
この世界の人たちは色についてどう思っているのだろうか。

 遠くのほうから、走ってくる人がいた。
色ではわからないので、形で判断するしかなかったのだが、さっきの人だということはわかった。
彼女の手には薄い黒色の葉っぱがあった。
怪しい色だったから、独などがあるのかと心配してしまったが、この世界が白黒なのを思い出して納得した。
やっぱり色って重要なんだな。

 彼女が戻ってきた。
急いで走っていたようで汗があふれるように出ているのがわかった。
「あの、あなたをなんていえばいいのでしょうか?」
急に言われてもな……。
今までだったら『まだ仕事終わらないのか』や『さっさとどけ』などの罵声しかかけられなかったので、何て呼ばれてもいい気がしてきた。
「何でも好きなように読んでくれ」
彼女は少し考えていたが小さく言ってきた。
「カラーさん」
「カラー?俺の名前がか?」
「はい、この国、この世界の人たちはみんな暗そうな顔をしているのに、あなたの顔は違うんです。前向きで明るい顔をしているから、カラーがいいと思って」
言っていることはよくわからなかったが、たしかにここに来るまであった人たちの顔はあまり明るくはなかったな。
「わかった、これからよろしくな」
「私はトホワと申します、よろしくお願いいたします」

 挨拶をしたのはいいが、このままここにいてもいいのだろうか。
「カラーさんはなんであんなところにいたんですか?」
「あんなところ?」
「はい、いきなり林の中から出てきたように見えてしまって、もしかして私の厳格化と思ったら怖くなってしまって……」
そういえば、トホワと会った時に叫んでいたけど、そういうことだったのか。

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