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 神麗と話をしてから数日。
 戦闘が激しさを増してきているのか、神界軍が慌ただしくなってきていたが、花音達は何をするでもなくただ中央で過ごしていた。
(今の神族と魔族と、私達の違い……、それはやっぱり……)
 中央区の街までなら行動が許された為、散策しながら考える。
(上層部の人達の考え方の違い、それとそれについていく人達の……)
 そこまで考えて、溜め息をつく。
「……難しいなぁ」
「何がだ?」
「!!」
 呟いた時、背後から聞こえた声に慌てて振り返る。そこにいたのは、黄牙だった。
「黄牙くんっ!?」
「久し振りだな」
「どうしてここに?」
「……風夜から聞いてないのか?」
 黄牙にそう言われて思い出す。
(そういえば、魔界で気になることがあるって言ってたっけ?確か、何かわかったら黄牙くんを此方に寄越すって……)
 そこまで思い出して、黄牙を見る。
「もしかして、何かわかったの?」
「ああ」
 花音が聞くと、黄牙は頷いた。
 黄牙を連れて中央塔に戻ると、神麗が待っていた。
「来たわね、いらっしゃい」
「来たわねって、知ってたんですか?」
「ええ、沙羅さんからの手紙に書いてあったからね。そろそろだと、思っていたの。さぁ、皆はもう集めてあるから、行きましょうか」
 そう言うと、神麗は踵を返した。
 神麗と黄牙と共に神界軍本部へと入ると、難しそうな表情をした神蘭達や、総長、副総長の姿があった。
(何か、複雑そうだなぁ)
 黄牙の場合、半分は神族であるからか強制排除が出来ないが、やはり魔族の血も入っていることを複雑に思っているようだった。
「……それで神麗の話だと、何か報告があるということだったが」
「ああ」
 口を開いた総長に、黄牙は頷いた。
「まず、俺達が魔界に行った理由だが、一度魔界に行った時にあるものを発見したからだ」
「それは?」
「……神族に対する兵器のようなものだった。その時俺達が確認したもの以外にも、色々と用意していたみたいだな」
 その言葉に、花音は魔族の里で神蘭達の力を封じていた装置を思い出す。
 それは神蘭達も同じようだった。
「その内の一つが、この間の装置ね」
 鈴麗が呟く。
「それだけじゃない。奴等は、魔界からこの神界を攻撃するための兵器の準備を進めている。それが使われるのは、時間の問題。……いや、今この時、既に使えるようになっているかもしれない」
「それがどうした?そんなことで……」
「まぁ、威力を知らないなら何とでも言えるよな」
 馬鹿馬鹿しいというような総長の言葉を遮り、黄牙が言う。
「その口振りだと、お前は知っているようだな」
「ああ、瑠璃に探ってきてもらった。その話だと、一撃で半径一kmは吹っ飛ばしたそうだ。防ごうと思っても、防げるものではないだろうな」
 神蘭に答えたのを聞いて、彼女達が視線を交わしあったのがわかった。
「そんなの、一体どうしたら?」
「……方法は一つ。魔界に来て、それを直接破壊するしかない」
 思わず呟いた花音に、黄牙が言う。それを聞いて、総長が鼻を鳴らした。
「ふん、その手には乗るか。我等を魔界へ呼び寄せ、罠に嵌めるつもりだろう」
「……信じる信じないは勝手だ。でもな、俺達がお前らを騙すメリットはない」
「「「「「「…………」」」」」」
「強制はしないけどな。兵器を使われたら、後手に回るのは確かだろうな」
 言いつつ、黄牙が視線を向けたのは、黙りこんでいる神蘭達だった。

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