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第83話

 倒れた傭兵の胸――心臓がある場所には、直径約三センチの穴で、射入創と射出創の大きさは同じ。間違いなく、エネルギー兵器によるものだ。

「どこから!?」

 04は撃ってきた敵がいるであろう、空へ顔を向けると、二枚の装翼を持つ、アーティナル・レイスが目に映った。

 同時に、ナオもそのアーティナル・レイスの姿を捉える。

「いつのまに……」

 エネルギー系のアサルトライフルを持つそのアーティナル・レイスは、胸があることから、H.Wタイプだということがわかるが、顔は仮面的なヘッドギアで覆われ、武装もナオのデータにはないものだったため、製造したメーカーや名称はわからない。しかし、その二枚の装翼は、映像で観た六枚翼のアーティナル・レイスのものと、よく似ていた。

(……まさか、他にも同型がいたなんて)

 一機なら、何とかなると考えていた。けれど、二機となると想定外……いや、もしかしたら他にもいるかもしれない。

「(みんな、増援に警戒しつつ、二枚翼のアーティナル・レイスに対応してください!)」

 ナオがそう言った時には、皆はすでに動いていた。

 M.Lタイプの三人が地上から援護射撃を行い、H.MタイプとH.Wタイプの五人は、空から二枚翼のアーティナル・レイスに攻撃を仕掛ける。

 戦力差は八対一。敵の詳細な性能は不明だが、数は圧倒的に勝っている。それに、二枚翼のアーティナル・レイスの装備は、見る限りだと、エネルギー系のアサルトライフルの他は、マイクロミサイルポッドと実弾のハンドガン、高周波ブレード。対多数を想定しているものではない。うまくいけば捕獲して、情報を引き出すことができるかもしれない。

 空戦用の武装を装備している五人は、射撃を行いながら、二枚翼のアーティナル・レイスを空中で追い回す。が――

「くっ、速い……!」

 敵の機動性と運動性は想像以上で、瞬く間に引き離され、後ろへ回り込まれそうになってしまう。それを地上にいる三人が、援護射撃で阻止し、その間に五人は散開し、攻撃されるのを防ぐ。

「(06、11。私達はリミッター解除をして、一気に追い詰め、可能であれば捕獲します。13、と16は、万が一別の同型機がきた場合に備えておいてください。25、29、32は、引き続き地上から援護を!)」

 04の指示に、全員が「(了解!)」と答えると、H.Wタイプの三人はリミッターを解除した。

 人工頭脳の処理能力を上げ、身体機能を向上させ、装備している武装の性能を限界まで引き出す、このリミッター解除は、現在普及している、第一世代アーティナル・レイスからは省かれている機能だ。

 リミッターを解除した三人は、二枚翼のアーティナル・レイスを囲むような形をとり、銃口をスラスターに向ける。

 確実に当たる。

 離れた位置から戦闘を見ているナオは、そう思った。ところが、三人が撃ったエネルギーライフルの光が当たる瞬間――二枚翼のアーティナル・レイスの姿が消えた。

「そんな――!?」

 思わず声をあげたナオは、二枚翼のアーティナル・レイスの姿を探すと、それは上空――06の真上にあり、しかもアサルトライフルを構えていた。

「06、逃げて!!」

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