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09 会話

「結局会わなかったね、先生……ポーションとかも買いに行ったのに……」

 俺達は、パーティ申請をした後に、装備を揃えて依頼を受け、荷物を受付に預けてから森へと来た。

「ところでそろそろ教えてよ、ビル君。どうして私が冒険者に登録してるって分かったの?」

「きっかけはマリアの力が前より強くなっていたことだ。それは鍛えたって言うより、レベルアップして肉体が作り変えられたと言った方が納得出来るくらいな」

 マリアは俺の推理もどきに感心するように頷いた。

「なるほど。それで、きっかけって言うくらいだからまだあるんでしょう?」

「ああ、きっかけその2。背中の傷だな。先生は気づいてなかったが、新しくできた傷だ。包丁よりも鋭くて広く浅い……魔獣の爪で抉られた傷だろ? まあこれだけだと隣街に行く途中に魔獣に襲われたという可能性もあるにはあるから根拠としては弱いが」

「ふむふむ」

「きっかけその3」

「多いね?!」

「まあ、きっかけと言っていいかどうかは微妙だけどな、お前の店の店主から来た手紙だ。好条件で雇います、ってな」

「ええ?! マスター、ビル君を雇おうといていたの?」

「知らなかったのか。マリアは、魔獣の肉を安く仕入れるために、冒険者に登録していたんだろ? それを店主が心配したんだ」

「もー、冒険者をやっているのは秘密にしててって言ったのに……」

「いや、そんなこと書いてなかったぞ。ほら、この手紙だ」

「ホントだ。書いてない。ていうかこの字、多分マスターの奥さんだね」

「マジか。男っぽい字だったからてっきり店主かと」

「デリカシー! ……奥さん、ちょっと前まで冒険者だったらしくてさ、怪我で引退したんだけど、大きな傷が残っちゃってさ。たまに古傷も痛むんだって。それでビル君に私のことを教えたくてこの手紙を書いたのかもね」

「そうだったのか。まあ、マリアが冒険者だって確信を得たのはついさっきなんだけどな」

「どういうこと?」

「マリアは、俺の取り出したカードを一瞬で冒険者カードーー冒険者の証だと見抜いた。さらにマリアは俺が冒険者だということよりも、C級であることに驚いていただろ。冒険者のシステムを知っているやつじゃなきゃ、こんなリアクションはしないさ」

「なるほど~。それで推理は終わり?」

「推理ってほど大層な物じゃないがな」

「その鋭さが恋愛に活かされてれば良かったのに……」

「何か言ったか?」

「そういうトコだよォ!」

「ぐえッ! 首締めんな!」

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