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初デートと、仲の良かった姉妹・7

「次、胃の上部……はい。それと右肺の下の方!」

 工場長の指示にユーさんが精神を集中させる。その都度体の該当箇所が、光を帯びる。

「次、十二指腸の入口……からの、肝臓」

 工場長もユーさんの治療度合いと毒の進行に合わせ、的確に指示を出していく。
 病院の手術とか、こんな感じなんだろうか。見たことはないけど。

「毒の進行が抑えられてる?よし、何とかなりそう!」

 工場長が嬉しそうにそう言う。
 心なしか、先程まで文字通り死人のように青ざめた顔の部長が、少しづつではあるが血色を取り戻しているようにも見える。

 そして毒と格闘すること1時間ほど。
 
「終わったわ……ユーさんお疲れ様」

 そう言う工場長だったが、声をかけた当人のほうが疲れてゲンナリした顔をしていて、こっちの方にお疲れ様といいたくなるくらいだった。

「さ一ユーさんひと段落したなら、さっきの告白の続き聞かせて貰うだよ!」
「ああナマリちゃん、多分それ無理だと思うわよ」
「えっ、何故だべ、工場長?」
「だってほら」

 工場長が指さした先には、倒れ込んでるユーさんの姿が。

「ちょ、ちょ大丈夫なんだか!?」
「命に別状はないわよ。ただ、先程の治療でちょっと精神力を使い果たしたみたいで気を失ってるけど」
「うわぁ、大事じゃねえだか!」

 ナマリさんはそう言ってユーさんに駆け寄り、

「本当に、お疲れ様だべー」

 と、その場にしゃがみ込むと自分の膝の上にユーさんの頭を置いた。
 いわゆる膝枕と言うやつである。
 すると工場長が小声で、

”それじゃあみんな、こっそりこの場を離れるわよ?”

 と告げる。しばらく二人っきりにしてあげよう、ということであろう。

 さてその後、結論から言うと部長は一命はとりとめたが役立たなかった。

 何故ならあのネオンとかいう声の主の黒幕に命を奪われそうになった部長は、今回を含め事件に関する一連の記憶も一才消されていたからである。
 そのため我が社の被害を訴えた裁判は、結果証拠不十分でうやむやになった。それに対して工場長は、またあのネオンが!と悔しがった。

 そしてまた何も無い日が数日続いた後、ついに我が社の目玉、成長する新型の遊精”ゼロ”の発売日が刻々と迫ってきた。

――ああ、そうそう。それに関連して理不尽な事も一つあってね。

 例の事件で使われた水木朋そっくりな遊精は、新製品として発売前の商品を盗まれて悪用されたと報道された。実際はあれ、遊精ですらなかったんだけど。
 その結果ケドコは被害者であると同時に新製品である、水木朋そっくりな遊精”トモ”の宣伝もバッチリ出来た結果となり、こともあろうにその発売日をうちの遊精とぶつけてきたんだ……

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