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第5幕 襲撃

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「それじゃあ、まずはお前達の話を聞こうか。最初に来たのは、お前達だしな」
全員が名乗り終えたところで、光輝が舞達を見る。
今いる街の長が彼だからか、この場を仕切ってくれるようだった。
その視線を受けて、舞はこの世界に来る切っ掛けになった出来事を話し出す。
謎の集団に連れていかれそうになっていた麗香のこと。
助けようとして危機に陥り、飛影達に助けられたこと。
彼等の話を聞き、危険が迫っていることを知らせようとこの世界に来たこと。
所々で付け足すように口を挟んできた飛影と光の街に来るまでのことを話すと、
「成る程な」
と呟いた光輝が名乗った時に神族だと言っていた者達の方を見た。
「それで、封魔が裏切ったと言ってたな。どういうことだ?」
「……どういうも何もそのままだ。奴は魔神族の封印を解こうとしている」
「……俺達が此処に来る前に対峙し、この世界をいずれは狙ってくるだろう連中と協力しているのは間違いないだろうな。奴等は魔神族の下っ端。その目的は封じられている上層部の復活だろうからな」
白羅と名乗った大剣の青年に続けて、莉皇が言う。
「……だけどそうだとしたら、そいつらは敵ってことだろ?封魔が裏切ったのが本当だとして、花音と風夜達が奴について行った理由は何だ?」
「……姉上は特に何も……、ただ全く心当たりがないわけではなさそうだったがな」
夜天の問いに答えつつ、光輝が風牙へと視線を移した。
「……風夜の所に来たのは、一番最後だったみたいだ。雷牙達もいたからな。まぁ、刹那がいたからこそ、お前達に気付かれることもなく、魔界まで来られたんだろうけどな」
「お前も何も聞いてないのか?」
「ああ。……風夜の奴は事情を聞いていたみたいだがな。だから少なくとも風夜は事情を知ったうえで、協力を決めたと思うぞ」
「……だろうな」
「とはいえ、後の四人も何も知らずに協力するとは思えない。中心になってるのは封魔だろうから、奴の真意を知りたいところだな」
光輝が言った時、街の中が騒がしくなった気がした。

「光輝様!!」
扉が開いて、一人の男性が飛び込んでくる。
「何があった?」
「それが突然仮面をつけた者達が現れて、街に攻撃を…!」
それを聞いて、舞は思わず身体を強張らせる。
視線を動かせば、麗香の表情も襲われた時のことを思い出してか、硬いものになっていた。
「……やっぱり来たか」
「もしかして、お前達を襲ってきたという奴等か」
飛影が呟いて、壁から身体を離したのを見て、神蘭が聞く。
「……ああ、この気配は間違いない」
それにそう返した飛影が舞を見た。
「奴等を追い払ってくる。お前達は此処にいろ」
言って、星蓮、莉皇と視線を交わし合うと部屋を出て行こうとして神蘭に止められる。
「待て。私達も協力する」
「相手がどれだけいるかわからないしな」
「街にもそんな被害を出す訳にはいかないからな。戦力が多いに越したことはないだろ」
龍牙、白夜が続けて言い、鈴麗が聖羅を見る。
「聖羅様は此処にいてくださいね」
「ええ」
「念の為、昴、千歳、星華を残す。楓と星夜も残れ」
「……行くぞ」
神蘭が言ったところで、飛影が言い、今度こそ出て行った。
「お前は行かないのか?」
「あれだけ行けば十分だろ?それに……」
「それに何だ?」
夜天が壁に背を預けた風牙に視線を向ける。
「風夜と花音がいないなら、俺、好き勝手に暴れるけどいいのか?」
「動くな。そこで大人しくしていろ」
ニヤリと笑う風牙に、光輝がすぐさまそう返す。
それを見て、舞は思わず笑ってしまった。

飛影が出て行ってから、どの位経ったのだろうか、屋敷の外からは戦闘音のようなものが聞こえてくる。
(このまま、ただ此処にいるだけでいいのかな?)
そう思いはしても、戦闘では自分は何の役にもたたないだろう。
かといって、ただ待っているだけというのも気が引ける。
「……伏せろ!」
その時、不意に風牙が叫び、少し遅れて屋敷が激しく揺れた。
「な、何?」
「……何人か入ってきたな」
呟いた風牙の声に緊張が走る。
そんな中、初めに動いたのは光輝だった。
「こっちだ!」
窓を開け放ち、其処から飛び出てついてくるように言う。
「えっ?ちょっ、何処に?」
「此処で待つように言われてるでしょ?」
「入られた以上、移動するのは向こうだってわかるだろ?急げ」
光輝に言われて、舞は一度麗香と顔を見合わせた。
そして、光輝の後を追うように外へ出て、聖羅と夜天が続いてきたものの、二人以外動こうとしないのに気付いて振り返る。
「何してるの?早く……」
「……俺達は此処で時間を稼ぐ」
「ここを逃れても、簡単に追い付かれたら、意味ないからな」
「聖羅様達のこと、宜しくね」
千歳、昴が言い、最後の星華の言葉に光輝と夜天が頷いた。
「さあ、行きましょう」
自分達だけ逃げていいのかとも思ったが、聖羅に手を引かれる。
「それで何処に行くんだ?」
「一度、街を出る。行き先は……」
走りながら答える光輝の声が途切れ、その足が止まる。
「どうしたの?」
それを不思議に思った舞が前方を見ると、先を塞ぐようにフードを被った人物が立っていた。

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