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第4幕 光の街

1
「ここだわ」
案内するように歩いていた星蓮が足を止めたのは、舞達が移動し始めてから数日後。
塀に囲まれた街だった。
「何者だ!?」
近付く舞達に気付いた門番らしい男が前を塞ぐ。
「此処を通るには身分証か各国の許可証が必要だ。見せてみろ」
「えっ?」
言われて舞は振り返るが、飛影達は首を横に振る。
「何だ?誰ももっていないのか?それなら此処を通す訳にはいかない。闇の国の城でいいから、許可証を貰ってくるんだな」
「それってすぐに貰えるものなんですか?」
「いや、数日は掛かると思うが」
(そんな……、もし待ってる間に何かあったら……)
そう思って、舞は再び口を開いた。
「お願いします!私達、急いでいるんです。入れてもらえませんか」
「駄目だ。きちんと許可を取った者しか通す訳には……」
「なぁ、街の中に身分を証明してくれそうな奴がいても駄目なのか?」
「知り合いがいるのか?」
「ああ」
頷いた飛影が舞を見る。
「……あの、花音先……、桐生花音っていう人がいますよね?私達その人に会いに来たんです。どうしても伝えたいことがあって」
「……残念だが、姉上は今この街にはいない」
その時、新たに誰かの声がしてくる。
「光輝様!?」
その声に驚いたように門番が振り返り、舞達も視線を向けると、金髪の少年が立っていた。
2
数分後、舞達は光輝と呼ばれていた少年と共に彼の屋敷に来ていた。
「さてと、改めて名乗ろうか。俺は光輝。この街、一族の長でお前達が訪ねてきた花音の弟だ」
「花音先輩の!?」
繰り返した舞に、光輝は頷いた。
「そうだ。それでお前達は何故此処に?姉上に何の用が?」
聞かれて、舞は口を開こうとする。
その時、舞達のいる部屋が叩かれる。
「……何だ?今、取り込み中だと言っただろ?」
「はい。ですが、夜天様がお見えです」
「夜天が?……わかった、通せ」
「はっ」
光輝の言葉に扉の向こう側の気配が一度遠ざかっていく。
少しして再び気配が近付いてきたかと思うと、一人の少年が入ってきた。
「何だ?見慣れない顔ばかりだな」
「ああ。姉上に用があったらしい。……で、お前の用件は?」
光輝がそう問いかけると、夜天は表情を真剣なものにした。
「俺のところにも入ってきたばかりで詳しいことはわからないが、雷牙と刹那、星夢が姿を消したらしい」
「何っ!?」
夜天の言葉に、光輝が眉を吊り上げる。
その後、彼は深く溜め息をついた。
「……一体どうなってるんだ?姉上も封魔の奴について、何処かに行ってしまったし」
「……封魔が此処に来たのか!?」
今度は不意に声が聞こえてくる。
舞が少々驚きながらも声のした方を見ると、いつの間にか十一人の男女が現れていた。
「封魔が来て、花音を連れて行ったと言ったな。いつの話だ?」
「つい五日前だよ?……っていうか、何だ、あいつ一人で単独行動中なのか?」
「お前等も見慣れない奴等を連れてるしな」
光輝と夜天に言われ、現れた十一人が視線をかわす。
「……奴なら神界を裏切り、魔神族に寝返った。我々は奴を追っているところだ」
「ちょ、ちょっと待って!」
大剣を背負っている男の言葉に、舞は声を上げた。
全然状況がわからないが、今の言葉で一つだけわかったことがあった。
「それって花音先輩が、その……裏切った人と一緒にいるってこと?」
「……そして、それは花音だけじゃない。風夜の奴も一緒にいるはずだ」
新たに声がする。
「……今日は随分来客が多いな」
光輝が呟き、今の声の主だろう銀髪紅眼の少年を見た。
「風牙……」
夜天がその少年の名を呟く。
「えっと……」
光輝のところに来てから、まともに話も出来ていないうちに人数が増え、舞は現れた人物達の顔を順に見る。
光輝と夜天を除いた者達も舞達のことを訝しげに見ていた。
「……とりあえず、全員、簡単に名乗っていけ。その後、其々の状況を話そう」
何ともいえない空気の中、溜め息混じりに光輝が言った。

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