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第10話 わらわは♂これで魔王をやめました(7)

「(う~ん、やはり魔王さまは、綺麗で麗しいなぁ……)」

 魔王さまの女神の笑みを凝視した一樹は、まあ、当たり前のことだけれど。直ぐに己の脳裏で思う、だけではなくて。

「(こんな美しい魔王さまの顔に大きな怪我。傷を負わせなくて、本当によかった……)」とも思い。

「(もしも、魔王さまの美しい顔に傷でもつけていたら姉さんが憤怒──。俺に怒号を吐いてきていただろうな……)」と。

 一樹は思うと。自身の身体が凍り付いて『ブルブル』と寒気──。

 それも、「(おぉ~、怖い~。怖い~)」と身震いしながら。最後は苦笑いをする。

 そんな一樹の様子で声をかけられた魔王さまなのだが。自身の小さな頭を傾げながら不思議そうな表情で見詰め、彼の次の言葉を待つのだが。

 魔王さまの、その表情がまた麗しく可愛いのだ。

 だから一樹は、自身の顔を緩ませ、目尻を下げ、鼻の下まで伸ばして魅入り沈黙……。



 と、なれば?


 一樹は己の次の台詞を愛くるしい様子で待つ魔王さまへと、自身の口を開いて次の台詞を出さないといけないのだが。魔王さまに見惚れてしまって、次の行動ができないでいる。

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