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第9話 魔王と勇者見習い(13)

「させるかー!」

 四足で移動をする獣のように這いながら、魔王さまは自身の武器──。大鎌仕様の戟を拾うためにと移動を試みていた魔王さまへと、勇者見習いである一樹の荒々しい台詞が。彼女の可愛いい大きな笹耳の奥にある鼓膜へと、荒々しく振動をおこなってきたのだ。

 だから魔王さまは畏怖──。

「ヒッ」と魔王さまは声を漏らしながら身を竦め、動きを止めてしまうのだ。

 それも、自身の小さな頭に被る、水牛のような頭鎧の後頭部へと自身の両掌を当て──。ガードしながら身を竦め、震え慄きながらだよ。

 でも、そんな魔王さまの様子を凝視しても、勇者見習いである一樹が。一度自分の敵だと決めた魔王さまのことを許す気はない。

 だって彼は、魔王さまとは、光と闇、反目する者……。



 そう、相まみえる間柄である勇者になる者だから。いくら魔王さまが、女神の如き美しい女性であろうと許す気はない。

 だから直ぐに怯える魔王さまへと近寄り──。

〈グッ〉

 そう彼女の華奢な首を力強く摘まみ──。更に『グッ、グッ』と、後ろから握り込み、彼女の美しい顔を一樹は、汚れた床へ這いつくばらせる。

 そして魔王さまの雪のような白い肌を黒く汚していくのだ。

 と、なれば? 魔王さまの美しい顔は歪み、悲痛な表情……だけではなく。

「うぐっ、ぐぐっ、ぐは……」

 と、声まで漏らし始めるのだよ。

 う~ん、それでもさ、魔王さまはね?

「うぐ、ぐぐ、はぁ~、はぁ~」と。

 自身の息を整えながら、彼女の美しい紅玉の瞳に映る物……。



 そう魔王さま自身が所持していた大鎌仕様の戟を拾おうと、自身の手を力いっぱい伸ばして掴もうと試みるのだが。

しおり