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販売合戦のはずが、リアルで戦闘が始まりました(中編)

 楼閣の中を、ボクとメッキくん、ユーさんの三人で進んでいく。

 中にいる、敵らしき人造精霊体は神具では無いらしく、神具を消滅させるユーさんの”白虎”が効かない。そのためユーさんが鎖の神具で拘束し、メッキくんが身体強化神具を用いて物理的に破壊。
 ボクの役割はといえば、建物内の神具の設定を”猫”で弄る感じだ。例えば、部屋の神具鍵の解錠とか。
 地味とか言うな!これも大事な仕事だ。

 さて、神具でないその人造精霊体がいかなる動力で動いているのか。
 それはこの田本(たっぽん)がまだ、日本と呼ばれていて南の榴求(リュウキュウ)や北の蝦夷(エミシ)までが一つの国だった時代まで遡る。その三国を分かつ要因の一つとなったのが、不思議な力を引き出すための””術式”の違いである。

 ここ田本では帝という強大な一族のエネルギーを神具で引き出す術式だが、
 主に榴求や東南亜細亜列強国《トウナンアジアレッキョウコク》で用いられる南方系は、不思議な力が籠められた魔法の石、通称”(りゅう)”を道具に埋め込む術式、
 同じく主に蝦夷や蒙国(モーコク)を筆頭とする北方系は、宗教的な記号”(ジン)”を道具に書き込む術式だ。
 この術式文化こそが亜細亜の各国を列強にし、白人種の各国を侵略し植民地化した原動力である。ヨーロッパ諸国の中でもイギリスだけは鎖国でその侵略を退けた後開国し、米利加由来の北方系の術式、”ルーン”で発展することになるのだが。

 そして話を戻すが、敵らしき人造精霊体がどういう仕組で動いてるのかと言うと、正直ボクは専門家でないので分からないが、メッキくんが力技で破壊したそれらの中には今の所”榴”らしき核も、”陣”らしき記号も見当たらないため、それとは又違う術式で動いてる可能性もある。

 とは言え気がつけば塔の最上部。

「こういう事言うのは不謹慎なんスけどね。
 何だろう、遊戯(ゲーム)現実的(リアル)でやってるみたいでだんだん楽しくなって来たんスけど」

 メッキくんがそう感想を口にする。
 大丈夫、ボクも同じ気分だ。寡黙なユーさんが今何を考えているかはわからないけど。

”よくぞここまで来た、勇者の面々よ”

 嫌味っぽい機械音声が、そう我々に告げる。

”さあ、魔王を倒して無事に姫を救い出すがいい”

 眼の前には、先程の巨大人型精霊と、鎖で拘束されている三人の姫。

”ちなみにこの状況は、中京大舞台(チューブ)の協力で全国の平舞台で生中継されている”

 うわぁマジですか。なんとも悪趣味だなぁ。

”言葉が話せなくなる毒が姫たちに廻り切るまで、あと十分もない。助けるなら急いだほうがいい”

 ……んな事言われなくても分かってるんだよっ、いちいちムカつくな!

 かくしてボクたちと、魔王(ラスボス)との最終決戦が始まったのだった。

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