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第9話 魔王と勇者見習い(1)

「あのさ、き、君と、いうか? 貴女のことを俺はどう呼べばいいかわからないけれど? 君はどうやら俺のことを誤解しているようだ……。俺は君が、今告げてきたような勇者と呼べる者ではない……。それに? 君が俺のことを父の敵だと。憤怒しながら怒号を吐いてきても。俺は産まれてこの方。未だ人を殺めたことなどない……。だから君の誤解だ……」と。

 一樹は自身の目の前にいる漆黒の甲冑を身に纏う妖艶、官能的……。自身の大きな胸の谷間をタユン、タユンと優艶に魅せる女性へと言い訳……。

 と、いうか?

 自分自身には記憶の無いこと。だから誤解だと説明をするのだ。

「はぁ~。何を言っているのだ。勇者―! そんな物々しい甲冑を着衣している癖につまらぬこと……。そう、我が不快になるようなでたらめやくだらぬことを申すな……」

 でも、一樹の目の前にいる彼女は、相変わらず憤怒──。恐ろしい顔色で彼のことを荒々しく一喝! 罵倒してくるのみで。誤解だと説明をしている一樹へと優しい笑み……。



 そう、女神の微笑みをくれる訳でもなくて、女性魔王の如き振る舞いで、言い訳をしている一樹へと荒々しい行為──。


 彼女が持ち、振るい下ろした大鎌仕様の戟の刃の部分を『グイグイ』と、彼女の持てる力を全部注ぎ込みながら押し込んで。一樹の額の中心へと刺し込もうと力強く押し込んでくる。

 それもこんな台詞を付け加えながら。

「では聞くが、勇者? 何故こんな何もない……どころか? 我しかいないこんな古城へとわざわざ出向いてきた? それも? 何かしら大きな音……。我の両耳を両手で塞ぎたくなるような爆音を城内へと撒き散らしながらこの部屋へときたのだ?」と。

 一樹自身が一番応えずらい事を彼女は問いかけてきたのだよ。


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