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第6話 大きな扉の前(3)

「ああ、一樹、ここで間違いない。この部屋だ! この部屋の奥に必ずある」と。
 自分自身を横目で見詰める一樹へと説明をするのだ。

 それもタヌキの御老体は、自身の目の前にある黒き観音扉仕様でゴージャスな扉に対して何とも言えぬ瞳で見詰め……。

 そう、タヌキの御老体は、まるで自身の過去を思い出しては懐かしむ……。感無量な面持ちタヌキ顔で、大きな扉を見詰めるのだった。

 そんなタヌキの御老体の様子を一樹は、自身の横目で『チラリ』と、見詰めながら。

「そうか……」とだけ言葉を返し。

 一樹は再度、黒き観音扉仕様でゴージャスな扉を見詰め。

 ……だけではない。


 何故か一樹は?

 自分達が目的地──。この世界一の財宝が隠されている部屋の前に到着したにも関わらず。自身の顔を緩ませ安堵感を募らせる訳ではなく。

 自身の眉間に皺を寄せ強張った荒々しい表情……。

 そう一樹は何故か? 勇んだ表情で、その黒き巨大な扉を睨みつけるのだった。


 ◇◇◇◇◇

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