バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第2話 『改築じゃァァァ』


 駄菓子屋タッちゃん。その由来は80年前。新婚の時であった。
 とも子の旦那、吉本 辰彦(よしもと たつひこ)はタッちゃんと呼ばれ、地元の人たちに慕われていた。



 二人で子供達の遊び場を作りたい。それが駄菓子屋をやるきっかけだった。



 そして商店街の友人らと話し合い、旦那の名前から取ることになった。


 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎



 まずとも子が手を出したのは店の名前だ。



「バババババ!! やはりこの名前はダサいのう!!」



 そう言うと、とも子は看板をジャンプして外す。婆さんの3倍はある高さを飛び上がり、看板を蹴り飛ばしたババアの姿を見て、近くで寝ていた猫の目は飛び出す。



「バババババ!! さてなんて名前にしようか!!」



 とも子が名前に迷っていると、近くの家のテレビの音が聞こえてくる。



「子供に勉強勉強って言いたくないですよね。ただいまー! 天神天神天神!!」



 それは最近では聞かなくなったCMの音声。隣の家に住んでいる中山家の長男、圭佑(ケイスケ)君は大学受験に失敗し、それからは家に引き篭り気味だと聞く。
 おそらくはそのヒキニートがコラ動画を作っているのだろう。とも子もその噂を聞き、たまにYouTubeで視聴している。再生回数の十分の一に加算されているだろう。



 その音声を聞いたBBAは思いつく!! 絶好の案を!!



「バババババ!! これじゃ!!」



 ばばあは自宅から巨大な筆を取り出すと、それを手に空中に飛び上がる。



 そして巨大な筆を振り、家の屋根に壮大に文字を書く。



「今日からわしの店の名は、ビックカメラ!! これじゃ!!」



 ビックな亀をラー油で食べたい。それがこの店の由来であった。




【後書き】

 この婆さん!! 人間じゃねー!!

しおり