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第4話 出発

 でも、本当のことを言っても信じてもらえないかもしれないな。
だからといって、適当な理由も見つからないな……。
「実は『色』というものを探していたんだが、途中で迷子になってしまったんだ。ホトワは何か知らないか?」
「色ですか……。聞いたことないですね、いったいどういうものなのですか?」
どのように説明すればいいのだろうか。
「色は色だよ」
俺はひたすら考えてこの結果になってしまった。
「形とかはありますか?」
「色に形?形やにおいはないな」

 彼女は少し考えていたが、思い出したように
「そういえば、今日の新聞で謎の物体が発見されたという記事をみました」
そういって新聞を見せてくれた。
新聞はもともと白黒だからなんだか落ち着くな。
文字は読めないだろうとあきらめていたのだが……
日本語で書かれていた!
色は言語にはあまり関係していないのかもしれないな。

 一面には大きな見出しで
『カプセルに入ったナゾの物体』と書かれていた。
それにしても、紙がやけに黒いな。
不良品なのだろうか。
これだけで判断するのは難しいが、もしかしたら神様の落とした色の可能性もあるかもな。
「トホワ、この村からこの場所まではどのくらいかかるんだ?」
「この村からだと大体20キロメートルくらいありますね、一日くらいはかかっちゃいかな」
それくらいなら一日くらいで着きそうだが……。
この国の交通ってどうなっているのだろう。
「もしかして、この国の移動方法って徒歩だけなのか?」
「はい、この村では徒歩だけですね。少し大きな町とかに行くと、トロッコとかがある町もあるそうですよ」
トロッコ?
もしかして、鉱山とかで使っているあれのことなのだろうか。

 ここから新聞の村に行くには徒歩しかないみたいだな。
「じゃあ、俺はこれで……」
俺は一人で向かおうとした。
「待ってください」
ホトワに止められてしまった。
そうだった、お礼ができてなかったな。
「もしよかったら、私も連れて行ってくれませんか?」
今までずっと一人旅を想定していたから、戸惑ってしまった。

 でも、現地の人がいれば迷子になる可能性は相当下がるはず。
道案内とかもしてもらえれば助かるな。
「でもこの家はどうするんだ?」
見た感じ数人ですんでいるようには見えなかった。
彼女は少し迷っていたが
「大丈夫です、もうすぐなくなりますから」
と言って笑った。
この話を深追いするのはやめておこう。
「少ないですけど、荷物をまとめてくるので外で待っていてください」
そういわれて追い出されてしまった。

 まあいいか、これから一緒に旅するんだから聞こうともえばいつでも聞けるはずだ。
それよりも、この足で新聞の町までたどり着けるのだろうか。

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