バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

12


「ここ最近、この山道や(ふもと)でクマが出るみたいなんです。
 狂暴なクマらしくて今、どうやって追い込んで捕まえるかを話していたところです。
 危ないので、この辺には近づかないで下さい」

 どうやら近くでクマが潜んでいるようだ。
怖いと思った。しかし、それだと困ることが……。
 妖精界に帰るには、この山道を登らないといけない。

 仕方がないので、その場を後にする。
そして警察の人が見えないところで様子を伺った。

「どうするんだ?あの山道を行かないと帰られねぇーぞ?」

「身体を小さくなれば突破出来ますが今回は、カレンを連れていますからね。
 仕方がありません。隙を見て反対の方向から参りましょう」

 小さくなると普通の人間には見えない。
しかし私は、逆で小さくなれない。
 そのために私を連れて行くには無理があった。
何だか申し訳ない気持ちになった。

「しかしクマって……獣族の中でも狂暴な奴じゃねぇーか。
 何で、ここら辺に居るんだよ?
ここは、キョウ様の所有している山だぞ!?
獣族は、一匹も住んでないはずだし……」

「最近変な輩が、うろついているらしいですからね。
 もしかしたら機会を狙っているのかもしれません。
我々が外に出る瞬間を……」

「はぁっ?ふざけた野郎だなぁ……」

 冷静に状況を判断するルイと違いシンは、舌打ちをする。
 機会を狙っているって……待ち伏せして食べちゃうってこと?嫌だ……怖い。
 私は、ギュッとルイの着物を握る。
するとルイは、よしよしと私の背中を優しく叩いた。

「大丈夫ですよ。カレンは、我々がお守りしますから」

 そして、隙を見て反対側にある山道を利用した。
行った道より凸凹していて険しいところだが、見つかると連れ戻されるので仕方がない。

 落ちないようにルイは、私を守ってくれた。
すると遠回りになったが、結界の境目付近まで来れた。
 しかし、そこにクマの姿が見えた。えっ……?

 クマは、体長何メートルあるだろうか?大きい。 
しかもそのクマは、結界を破壊しようとしていた。
 突っ込むのだが結界の力で弾き返されていた。
だが諦めずにまた突っ込んで体当たりしている。

しおり