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第93話

 破壊されたのは、西の方角へ飛ばしていたドローン。それが破壊された情報が入るなり、基地は緊張に包まれる。

『全部隊、西側へ集まれ!』

 岩崎からの通信が入った。

 西側のドローンが破壊されたから、敵は西からくると判断したのだろう。

「待ってください、岩崎司令! これは陽動の可能性があります!」

 ナオはすぐ、岩崎に言った。

 自分が敵ならば――西側から襲撃をするのなら、下手にドローンを破壊して、自らの位置をわざわざ相手に知らせるような真似はしない。もしするとしたら、それは陽動目的……もしくは、その裏をかくため。だが、敵が裏をかくようなことをする可能性は低い。そんなことをしなくても、二翼と六翼のアーティナル・レイスがいる敵の方が、戦力は上だからだ。しかし――

『敵が西からきていることは事実だろうが! 貴様らも早くこい!』

 岩崎はナオの言うことに聞く耳を持たず、全アーティナル・レイスに命令を出してしまう。

「くっ……」

 登録者が澄人であるナオは、その命令による強制力を受けないが、その他のアーティナル・レイスは、この基地の所属。先行量産型達も、岩崎の命令に従うしかない。

 西側へ移動しようとする04達。その時、基地のレーダーが敵の姿を捉え、前と同じようにミサイルが飛んできた。しかし、その対策はすでにしてある。

 電子戦用の武装をしたアーティナル・レイスが、ジャマーを発動させ、ミサイルを明後日の方向へそらす。だが、それに気を取られているうちに、東側から砲撃される。重武装のM.Lタイプアーティナル・レイスによるものだろう。

「くそ、東からもか! 南側の部隊を回せ!!」

 慌てて指示を出す岩崎。

 空戦用の武装を身にまとった、アーティナル・レイス達が空へと飛び立ち、敵に攻撃を行おうとするが、続けられる砲撃にうまく身動きをとることができない。

 そうこうしているうちに、砲撃の何発かが基地にも着弾。傭兵達に被害が出てしまう。

「うわああああああああっ!」
「くそったれ! やつら、俺達をなぶり殺しにするつもりか!」

 砲撃から逃れるように、何名かの傭兵達は大きく跳んだ。

 強化外骨格――SAFUを装備していることで、傭兵達は通常の何倍もの跳躍力を発揮することができるのだが、

「ぐあっ……!?」

 大ジャンプをしたことで、敵に頭を狙い撃ちされてしまい地面に墜落。血溜まりを作る。

「全員散開しろ! 高くは跳ぶな!!」

 岩崎の指示で、傭兵とアーティナル・レイス達は、散り散りになろうとする。しかし、続けられる砲撃がそれを妨害する。

 澄人の身を案じたナオや先行量産型達も、それによってうまく動くことができず、基地に近づくことができない。

 傭兵達がいる場所と、澄人がいる建物は離れているため、まだ着弾はしていないが、それも時間の問題かもしれない。

「砲撃している敵を、早く倒さないと……!」

 味方のアーティナル・レイスは、砲撃でうまく動くことができない。

 対処が可能なのは、ナオと先行量産型達だけだ。

「岩崎司令! 先ほどの命令を取り消し、先行量産型達に砲撃している敵への対処を!」

『貴様が俺に指図をするな! 司令は俺だぞ! 貴様なんかに……っ!?』

 岩崎が言いかけた直後、大きな着弾音が鳴り、通信が切れた。

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