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第92話

 倉庫へ戻ったナオ達は、準備を整えると移動し、敵が襲撃する時を待った。

 ナオ達としては、澄人を島の外へ避難させたかったが、一機しかないヘリを使わせてもらえるはずがなく、澄人には食料と水を持たせ、倉庫の隣にある建物の地下に移ってもらった。

「あとは、敵がいつくるか」

 ナオは建物の屋上から、昨日敵が現れた海の彼方を眺める。

 時刻は昼もすっかり過ぎた頃。空も太陽がよく照っていて、視界は非常に良好だ。敵が姿を現したら、すぐにわかるだろう。

『ナオ。他のアーティナル・レイス部隊も、すべて配置についたようです』

 04からの通信が届き、ナオは各部隊の配置状況を確認する。

 敵が現れた方角には、昨日以上に守りを固め、別方向にも少数だが部隊を置いている。加えて、偵察用のドローンも飛ばしているため、どの方向から敵がきてもすぐに発見、対応ができるようになっている。

 ちなみにナオ達は、倉庫から少し離れた――直線距離にして、約五〇〇メートルのところに位置する、島の北側――廃墟となっている町にいる。

 ここからなら、基地の様子がよく見えるし、山に挟まれてもいない。いざとなったら、すぐに基地へ飛んでいける。

 普通に考えれば、守るべき対象である澄人の近くにいるべきだが、それは敵も想定していることだろう。それならば、下手に彼の近くにいるよりも、少し離れた場所にいた方が彼は安全だとナオ達は思ったのだ。

 岩崎は最初、ナオ達の部隊が北側へ行くことに少々不満を漏らしたが、北側からも敵がくる可能性があることと、他の主力部隊は昨日敵が襲撃をしかけてきた、西側に配置したいということから、結果的に了承してくれた。

(次の襲撃……敵はどのような編成でくるのでしょうか)

 昨日現れた、あの二翼と、映像で見た六翼のアーティナル・レイスは当然と考えるとして、その他は予想が難しい。

 こちらが対策を講じていることは、敵もわかっているはずだ。昨日と同じように、旧型ヒューマノイドを大量投入してくるとは考えにくい。そうなると、やはりアーティナル・レイスを中心とした部隊による攻撃を仕掛けてくると思うのだが、敵がどのようなタイプのアーティナル・レイスを所有しているのかについては、情報に乏しく不明だ。

 もし仮に次の襲撃で、敵の部隊すべてがアーティナル・レイスだったら――こちらよりも数が上回っていたら――二翼と六翼のアーティナル・レイスが含まれていたら、苦戦必死になるのは間違いない。いや、それならばまだいいかもしれない。なぜなら、ナオが想定している中には、それよりも最悪の状況があるからだ。そうならなければ、まだ希望はある。

「どうか……」

――どうか、そうならないように。

 ナオは手を合わせて祈った。その時、偵察に出ていたドローンが敵を捕捉した直後、破壊されたという情報がナオのもとに入ってきた。

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