バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第86話

 敵の襲撃は、予想以上に大きな被害をもたらした。

 前線で戦っていたアーティナル・レイス達は言うまでもなく、傭兵達にも多くの死傷者を出した。だが、命を失った者達に構っている余裕はなかった。一度目の襲撃は、一七時という情報があったが、二度目はいつなのか不明だ。生きている者達の治療と、まだ動けるアーティナル・レイスの修理を行い、次の襲撃に備えるのが最優先だ。

 澄人もそれはわかっていたようで、ひたすら修理に専念し、ナオ達もそれを手伝った。

 幸いなことに、その最中に再び敵が現れることはなく、修理はほぼ終わり、その後、倉庫の二階で澄人が遅い夕食を食べている間、ナオ達は一階で、二翼のアーティナル・レイスと六翼のアーティナル・レイスの情報をもとに、次の襲撃で現れた時に、どう戦うか――どうすれば澄人を守れるかの相談をしていた。

「さて……六翼と二翼のアーティナル・レイスに、どう対抗するかだが」

 腕組みをしている32が、独り言のようにつぶやく。

「途中から急に上がった、あの速度……敵はリミッター解除が可能だと、思っていいでしょう」

 二翼のアーティナル・レイスにやられそうになった、06が言うと13も口を開く。

「身体性能、武装性能共に、ボク達よりも上となると、やはり連携が重要になってくるでしょうね」
「13の言う通り、それしかないと思いますが……問題は敵の数です。夕方の襲撃の際、敵のアーティナル・レイスは、あの二翼のアーティナル・レイス、ただ一人でした。次の襲撃の時には、敵もアーティナル・レイスを導入してくるでしょう。無論、六翼のアーティナル・レイスも」

 敵の数を予想する04。

 そこへナオは、疑問の声を漏らす。

「……それだけならいいのですが」
「ナオ。何か気になることでも、あるのですか?」
「今日初めて見た、あの二翼のアーティナル・レイス、はたして一人だけでしょうか?」
「そうか……! 六翼のアーティナル・レイスと二翼のアーティナル・レイスの武装には、共通している部分があった。もし、あの二翼のアーティナル・レイスが、六翼のアーティナル・レイスの量産型だったとしたら!」

 ナオが抱いている疑問がわかった25は、地面に向けていた視線を上げる。

「はい。二翼のアーティナル・レイスの同型が、他にも存在する可能性があります。仮に、私達と同じ数、もしくはそれ以上の数が存在するとしたら――それらが次の襲撃でくるとしたら……」

 その状況を想像したのか、11が「……最悪の状況ですね。それは」と、頭に手を当てた。

「いいえ。二翼のアーティナル・レイスの性能と、リミッター解除ができるという情報を得ることができているのですから、最悪にはなり得ません」
「ですが、ナオ。私達が不利だということに、変わりはありません。何かしら、対策を立てる必要があります」

 04の言う通り、性能も数も勝てないとなると、敵に勝つことは――澄人を守ることはできない。だが、ナオにはある考えがあった。

「それについてですが……みんな、聞いてほしいことがあります」

 ナオはその場にいる皆に、その考えを話し始めた。

 真剣に――必死な目で。

しおり