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四話

 
「ヒーロー参上! よし、皆落ち着いてスペーシアの作るゲートに入るんだ」

 飛行機が揺れてパニックになっているところで、通路にヒーロー達が現われた。

「何者だ!」
「げっ テロかよ!」

 ナイフを持ったテロリストが肉薄する。すぐさま、間にするりと入り込んだ物がいた。

「ロボス!」
 ナイフを華麗に捌き、ロボスは告げる。

「ターゲットの避難を急ぐんだ」
「わ、わかった! この中にケイン君はいるか!? 未来の科学者を元気づける運命にある子だ!」
「全員警察の前にでも転移させて、念を入れてケイン君は別の場所に避難だな」
「テロリストと人質の区別なんてつかないしね」
「ケイン君は保護した。スペーシア!」
「ぼ、ぼく……」
「ちょっと、うちの子を返して! うちの子をどうするつもり!?」
「貴方も一緒に逃がしますから、心配しないで」

 スペーシアの創り出したゲートへと、慌てて人々が逃げていく。
 ニューヨークのど真ん中の警察署の前で、突如として現われたゲートとハイジャックという言葉にちょっとしたパニックだ。

「ロボス! 助けて!」

 ヒーローの一人、フレアが人質に取られる。
 等身大の刃物人形、すなわち俺は、はぁ、とため息をついた。

「身を守るバリアぐらい展開しろ。やり方は知っているはずだ」
「……火よ!」

 その時、フレアの体を炎が舐め、捉えた男を焼いた。

「うわああああああああ! 人が! 人が!」
「バリアごときの魔法で人は死にはしない」

 面倒くさいとばかりに、ゲートから人を片っ端から投げ捨てていく。
 飛行機の外の上空では、魔法少女達が陸地を前に立ちはだかっていた。
 顕現するは巨大なバリア。
 市街地に飛行機を落とすわけにはいかない。つまりはまたあれである。
 ぶつかる前に避難しないと死ぬ。

 今回もなんとか全員脱出し、ケイン君を安全な場所に送り届ける。

「君が世界の発展を間接的に助けるんだ。頑張れよ。具体的には友達を大事にしろ」
「う、うん……。お兄ちゃん達は、未来から来たヒーローなの?」
「ノーコメントだ」

 そして、帰還する。あっ 飛行機は花柄の飛行機として返しました。
 しかし、思ったよりも事件の難易度が高いな、おい。
 今回、というか二回目にして早くも対人が出てしまった。人間が一番厄介なので、出来ればこの手の依頼は避けたいのだが、そういうわけにもいかないだろう。
 基地には訓練機能もあるし、積極的に特訓をつけるか。
 俺だって、ゲームの中での戦闘経験しかないんだけれど。

 二ヶ月ほど週一ペースで特訓をした。
 その他にも、ヒーローがこういう事件の場合はこうする、という打ち合わせを頑張っているようだ。もちろん、その頑張りは給料に反映した。
 魔神見習いになって三ヶ月目。
 
 ついにガッチャの魔法学校が日本上空に浮かび上がった。
 ヒーロー達は焦ってリングに問い合わせてきたので、リングから日本の魔法学校だから心配ないと伝えて貰う。
 
 ガッチャの演説が始まった。天空の城の全面に映し出されたガッチャ(ヒーロースーツはもちろん着ている)。世界中が注目した。
 
『魔法使いを志す日本の若者達よ! 我が元に集うのだ! 学費無料、完全寮生、3年間で一人前の魔法使いへ! 希望者は東京駅の竜車に乗って面接へ。合格したらそのまま滞在となる。定員は90人!』

 凄いな。さすがガッチャ、色々と豪華だ。
 事前に聞いているが、教師はNPCでまかなうらしい。教師が出来るレベルのNPCとなるとかなりのレアドロップなので、やっぱり豪華である。
 竜車も、実は年齢が一定以下の人しか入れないレアアイテムだったりするのだ。
 なお、俺はガチャにNPCを入れないという項目に気づいたのでそっとチェックを入れた。ロボスやリングを呼んどいてなんだけど、責任取り切れないよな。
 

「魔法学校行きたいなぁ」
『君達は教師側だよー』
「えっ」
『言わなかったっけ? 成績が良ければ教師として雇うって』
「でも私、日本語できないよ?」
『アメリカの魔法学校の教師をすれば良いでしょ。今度、司令官に採用条件聞いてみたら?』
「うんっ」

 魔法少女とリングの会話をモニターしてほっこりする。
 でも魔術の教師になる為の勉強より、今のチートを使いこなす訓練だよな。
 おっと、予言玉が。リング!

『敏腕官僚の父親になるはずの人が山火事で亡くなるらしい。皆、すぐに行って。特訓の成果を示す時だよ』
「わかった!」

 早速皆で出動して、絶句した。
 街が炎に囲まれているのだ。日本では想像も出来ない光景だ。

「フレア、アクア」
「とにかくやってみる! 雨、土砂降りの雨、降れ、降れ、降れ!」
「炎よ……静まれ……静まれ……」
「私達は避難させるよ☆ スペーシアさん、安全な場所にゲートを!」
「わかった」
「生命探知なら任せてくれ。たまには忍者ヒーローも活躍させろ」

 今回、俺は役立たずなのでひたすら人を運ぶしかないな。ロボスもせっせと運んでいる。
 なんとか山火事は収束したが……。

「俺に任せろ! アクア、力を貸してくれ。具体的には魔結晶全部くれ」
「なんだ?」
「ヒーローガチャで良い物当てたんだ。ゴッドアイテム!」
「ほう、凄いな」

 ゴッドは一番良いレアリティだったはずだ。
 ガチャ狂いのヒーロー、ウィンドが差し出したのは種だった。
 あー。あれか。
 種はアクアの魔結晶を全て取り込み、芽吹いた。それは花になり、タンポポのような綿毛をいくつも精製する。
 その綿毛は、ウィンドの風に乗って凄まじい勢いで種を拡散していく。

「水の魔法花を生み出したんだ。ここら一帯はこれからは湿気のある花が繁殖して、きっと山火事が起きないはずさ」
「本当か!?」
「ウィンドさん、格好良い……!」
「ゴッドアイテム凄い……!」

 褒め称えられ、嬉しそうにするウィンド。
 今回の件で、完全にヒーローがヒーローと認知されるのだった。
 お父さん? 子作り頑張れよ! と激励しておきました。

 そんなこんなで中々濃い毎日を過ごす。特に夏休み期間はヒーロー達の手が空く為、沢山依頼をこなした。
 ヒーロー業と会社の両立はきつい為、正直辞めたいが辞めたら何か負けた気がする。

 そして、半年。
 クリスマスである。
 

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