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三話

 一週間後。
 アクアから仕事が欲しいと懇願された。
 どうやら、修行と魔力結晶の収集に飽きたらしい。
 力を使いたくて仕方ないんだろう。
 実を言うと、十五人集まっちゃったので早めても別に構わないと言えば構わないのだ。
 更に、お金がなくて食うに困っているヒーローもいる。なので、俺はそれを承諾した。
 早速、予言玉を使う。お、おお……。

『まだ一ヶ月経っていないが、諸君も退屈しているだろう。初任務といこうじゃないか。今回の任務は、とあるターゲットを列車事故から救う事。彼女はヘレン・アイリス。将来、大統領を救う運命にある少女。大事故まであと十分。健闘を祈る。なお、初仕事だから助っ人を二名ほど送る』

 若干焦りながら転送装置を使う。
 列車の中、突如として現われるヒーロー達。
 乗客は当然ながら驚く。特に、一人は明らかにロボットで、一人は刃物で出来た人形だ。

「事故まであと十分っていったよね!?」
「原因はなんだ!」
「怖いよぉ!」

 ええい、ヒーローがパニックに陥っていてどうする。

「魔術師はターゲットを探しながら乗客の保護を。魔法少女は外に出て、外から列車を止めて下さい。忍者達は私と共に中から原因を探しましょう。運転席の確認、不審物の確認を共に」

 テキパキとお助けロボットが指示を出す。さすがだ。

「やれやれ。怖いなら帰れば良い。乗客は全て死ぬし、将来大統領がピンチとなるが、何、助けられなかったからって誰も其方らを責めはしない」

 その言葉に、アクアは叫ぶ。

「いいや。俺が責めるね。一人でも死者が出たら、自分を責める。だから、絶対助ける!」
「アクア……そんな事言って、働くのは俺だろう?」

 そんな事を言って、空間に穴を開けるのはヒーロースペーシア。
 
「ヘレンを見つけたぜ! 将来大統領を救う予言の女!」

 そうして、少女の前に跪くのはヒーローフレア。

「さあ、勇気あるレディ。ここは危ない。脱出しましょう」

 少女はその手を取った。

「皆も助けて。絶対よ」

 ヘレン強すぎか。怪しい集団を信じるのもそうだし、他の人を思いやれるのもそうだ。

「私、お金欲しいから。活躍しないとお給料貰えない」

 ヘレンが勇気を出して踏み出す横で、ファンシーな服装の人間ではあり得ない蒼い髪の少女が、杖を電車の上に向け、光弾をぶっ放して杖に跨がり外に出る。お金に困っている魔法少女である。ぶっちゃけネグレクト受けててご飯貰えてないんだよな、あの子。

「まってよ、シャインちゃん!」

 少女達が杖に乗って追いかける。
 忍者達が手分けして走り出す。

「運転手が倒れてる! 怪我なし! 急病みたい……大変だ、息してないぞ!」
「すぐに脱出して応急処置を。他の者は救出の手伝いをするんだ。魔法少女を信じろ」

 運転席から、杖を持って立ちはだかる魔法少女が見える。列車を壊す気満々にしか見えない。

「ふむ、力業か……。速く逃げないと全滅だな」
「落ち着いている場合か!」

 ヒーロー達はヒーロー達に怯える乗客を慌てて追い出していく。
 最後の一人が空間を通り抜けた時、魔法少女のバリア魔法が炸裂して、レールから外れて市街地に突っ込むところだった列車は魔法の壁に大激突。爆散した。

「す、すげぇ……」
「大事故だー」
「さて、これで終わりではないぞ、ヒーローズ。列車と線路を元通りにしないと。まずはフレア、アクア。火を消して」
「「「ええー!?」」」「りょーかいっ」「あはっ☆ 私に任せて! これで元通り!」

 フレアが手を伸ばすと火の手が一気に消え失せ、慌ててアクアが水を出して冷却する。魔法少女の一人が、杖を振る。
 
「ほらっ 役だった! 役立ったぁ! ボーナスは期待して良いはず!」

 実際には火魔法なんて使い道ないよな、と虐められていたフレアはここぞとばかりに自分の功績をアピールする。
 呆然としつつ写真を撮りまくる乗客をよそに、キャッキャとはしゃぐヒーロー達。
 彼らは、魔法の掛かった列車を見て、絶句する。

「もと……どおり?」

 花柄のファンシーな列車に困惑するヒーロー達。

「元通りだよ☆ 帰ろっか☆ 後99件の事件解決、頑張ろうね☆」
「俺も帰ろ」
「これだから日本人は」
「しっ 正体は秘密なの☆」
「運転手は蘇生した。怪我人はなしだな。私からも報酬をはずむようにいっておこう」
「お疲れさまでしたー」

 ヒーローは次々と帰って、遅れて五分。乗客達は歓声を上げた。











 テレビでは、大統領を救う女、ヘレンちゃんがインタビューを受けていた。

『将来、私がどんな形でいつ、大統領をお助けするのかわかりません。でも、その未来を本物に出来るよう、自分を磨きたいと思います』

 ヘレンちゃんはハキハキと答えていた。小さいながらに末恐ろしい少女である。
 列車は厳正な検査の後、再度使われる事となった。
 一応、乗客への聞き取りの後、ヒーロー達はどうやら人助けに来たらしいと理解をして貰った。良かった。

 早速、俺はお給料を全員に配る。
 よくよく考えたら、最初に支度金を配るべきだったよな。
 反省を込めて、それぞれの活躍や修行に合わせたポイントプラス200ポイント配った。
 それぞれのチームポイントも300ポイントずつプレゼントだ。
 
 ヒーロー達は大喜びである。何しろ、一番安い秘密基地がこれで買える。
 どうやら、三チームとも貯めるよりもまず、基地を買う事にしたようだ。
 一人などは、全てガチャに引き替えて引いていた。
 皆が喜んでくれて俺も嬉しい。

 それから、二週間後。
 困窮している子、シャインが、ヒーローアクアの両親に引き取られる事になった。
 なんだか色々あったらしい。チーム間通信が出来る装置をヒーローポイントで買ったようだ。皆の絆が一層深まったなら、それでいい。

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