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第76話

 コンテナの中にある武装を倉庫へ運んだナオは、皆と一緒に武装の準備を始めた。

 RAY・プロジェクトで試作された空戦用の武装は、事実上ナオの専用武装ではあるが、ナオのために作られた武装ではない。

 一応、以前何度かテストをしたことがあるが、身につけるのは久々であり、実戦で使うのは言うまでもなく初めて。調整が必要だ。

 ナオは武装を装着し、まずは動作確認を始める。四枚の翼を展開させ、動かしてみると、そのうちの一枚に遅れが生じた。

「装備の方は……」

 試作A.Eバリア、試作エネルギーブレード、試作エネルギーカノンに接続し、シミュレートしてみる。

 試作A.Eバリアは、やはり消費エネルギーが激しい。常時展開はできないので、使うとしたら、敵の攻撃を予測して展開するしかない。

 試作型エネルギーブレードに関しても、A.Eバリア同様、エネルギー消費の問題がある。

 試作エネルギーカノンの方は、威力は一応出るし、動作も問題ないようだが、チャージ時間が非常にかかるため、使うとしたら、戦闘になる前に予めチャージして一発撃つくらいだろう。

「……背部ウイングと、A.Eバリア、エネルギーブレードの問題解決に、力を注いだ方が良さそうですね」

 まずは背部ウイングの問題。これを解決しなければ、飛ぶことはできても、満足な回避はできない。

 だが、その調整はナオ一人では困難だ。動作確認をしながらプログラムの数値を書き換え、最適化をするには、処理能力が足りない。それを補ってくれる者が必要だ。

 他の皆は手が空いていない上、ナオの武装に関するデータを持っていない。となると、澄人に頼むしかないのだが、彼にはまだ眠っていてほしいという気持ちが、自身に起こすことを拒ませる。

「どうしましょう……」

 ナオがあごに指をやって悩んでいると、突然肩を軽く叩かれた。

「ナオ」
「す、澄人!?」

 ナオがつい声を大きくして言うと、皆の手が止まった。

「どうして起きて……あっ、もしかして、騒がしかったですか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど、何か目が覚めちゃって。それで、どうしてみんな武装を身につけているの? まさか、もう敵が攻めてくるとか?」
「それが……」

 ナオ達は、澄人にネイのことを話した。

「…………なるほど。ネイが敵だったっていう話はわかったけど、みんなが言っている通り、矛盾な点が多すぎるね」
「何か意味があるとは思うのですが……」
「……二度に分けられた襲撃、僕が狙われるのは二度目の襲撃、決められた時間、迎撃の準備をさせる余裕……そして、ナオよりも強力なA.E.バリアを装備した、正体不明のアーティナル・レイス……」

 タブレット端末で、六翼のアーティナル・レイスの映像を見ながら、ナオ達から聞いた話のキーワードを呟く澄人。だが、

「……ダメだ。わからない」

 睡眠をまともにとっておらず、かつ起きたばかりの頭では、考えをうまくまとめられないのも無理はない。

「とりあえず、一七時に襲撃がくるとわかっているのなら、僕も迎撃の準備を手伝うよ。こんな状況じゃ、眠っているわけにもいかないからね」

 そうして、澄人も作業に加わろうとした時。

「ただいま戻りました」

 04と06が帰ってきた。が……その後ろには岩崎と基地の兵達の姿があった。

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