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第11幕 力の片鱗

1
身体の自由は取り戻せたものの、麗香が連れて行かれてしまったことに立ち竦む。
(麗香……、連れていかれちゃった)
心の中で呟く。
二人だけで来てしまったことを後悔してももう遅い。
(ううん、それよりも……)
「舞ちゃん……」
聞こえてきた声に視線を向けると、花音と目が合う。
「先輩……」
「……ごめんね」
「……っ……」
謝罪の言葉を聞いた瞬間、カッと身体が熱くなった。
「……それは、何の謝罪ですか?麗香を連れて行ったこと?それとも、私を騙したことですか?」
「……ごめん」
それに答えは返ってこない。
「謝罪だけされたって!……今の先輩が私にはわかりません。前の先輩はこんなことする人じゃなかった」
悲しげに見てくる花音に、舞はそう返した。
自分自身でも今、怒っているのか、悲しいのかよくわからない。
それでも、身体の中から何かが湧いてくるのを感じ、それが感情にも影響を与えるのか、上手く制御が出来なかった。
「私は会えて嬉しかったのに……!先輩は私を騙して、麗香を……!」
「「!!」」
叫ぶように言ったのと同時に身体中に力が張り巡らされ、両手に何かが集まるのを感じた。
それと同時に、銀髪の青年と封魔が反応し、身構える。
舞の手が何かに誘導されるかのように前へ突き出された時には、青年が花音を抱え込むようにし、その二人を庇うように封魔が立っていて、その三人に向かって舞の手からは周囲のものを消し飛ばすようなエネルギーが放たれていた。
2
「……っ……!……!」
「……ん……!」
誰かに名を呼ばれ、身体を軽く揺すられる。
それにゆっくりと目を開ければ、どこかほっとした様子の飛影と目が合った。
「……大丈夫か?」
「……あ、わ、私……」
飛影の手を借りて、身体を起こすと、舞は辺りを見回して息をのんだ。
辺りは花音達がいた所も含め、消し飛んでいて、森の中にいたはずなのに更地になっていた。
「これは一体……。何があったの?」
「……俺が来た時にはこの状況だった。……麗香はどうした?」
そう聞かれたが、麗香が連れて行かれた後の記憶がない。
(麗香が連れて行かれたのは覚えてる。でも、その後は?花音先輩は?どうなっちゃってるの?)
「……落ち着け。……一度街へ戻ろう。話はそれからだ」
飛影に言われ、舞は大きく深呼吸する。
そうすることで少しだけ気持ちが落ち着いた。

光の街へ戻ってくると、舞はすぐに光輝のいる部屋へと通された。
「そうか。とうとう麗香が連れて行かれたか」
そこで待っていた莉鳳が溜め息をつく。
「……まぁ、連れて行かれたからといって、すぐに覚醒することもないとは思うんだけど」
星蓮の言葉を聞きながら、舞は部屋の中を見回す。
すると、机の上に両肘をつき、何かを考えるように目を閉じている光輝と、壁に寄り掛かり頭を抱えている風牙と火焔が目に止まった。
「……姉上」
「……っていうか、何してんだよ、あいつら」
(そういえば、あの三人、私が話した後からあの状態だったっけ?)
光輝と火焔の呟きに舞はそう思う。
「……ん?……あいつら?」
「……花音と封魔の他にもう一人いたんだろ?……そいつが風夜だ。前の襲撃では顔を隠してたけど、銀髪で俺とそっくりの奴なら間違いない」
「……これで全く動きをみせていないのは雷牙と星夢だね。一緒にはいるんだろうけど」
大樹が溜め息混じりに言う。
「……動かないからといって、敵でない訳じゃない。向こうにいるなら、裏切り者だ」
「ちょっと!まだわからないじゃない!」
言い切った白羅に、水蓮が声を上げる。
「そうだよ。きっと何か理由があるんだよ。花音ちゃん達にだって」
「理由?どんな理由だよ?何か弱みでも握られてて、封魔に脅されてるとかか?……まぁ、ありえそうだがな」
水蓮に続けて美咲が言ったことに、白羅がククッと笑う。
その言葉を聞いた瞬間、神蘭と星夜が何かを言おうと口を開きかけたのはわかったが、その口から何かが発せられることはなかった。

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