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最終話

「ふわーあ、そろそろ時間かな」

 ボロい仕事である。
 なにせ、最初に百ポイント持たせて、異世界へ放り込めばそれでいいのだから。
 人間の欲望は果てしない。初めは十分にあったポイントも、徐々に様々な事に使い潰していく。
 そうして、20歳が近づくと、死ぬのは嫌だと魂を売ってくるのだ。
 俺は邪悪に笑った。
 奴の魂は、絶対に手に入れるよう上司から命令されたものだった。人一人の魂を得るなど、簡単なものだ。
 魔具「VRMMOシステム」に声をかける。

「プレイヤーのポイントはいくつだ」

「5267ポイントです」

!??

「行動ログを!」

 な、なんだと!? 初期ステータス決めずに、運だけで能力持ちの貴族の体を引くだと!?
 更に、幽体離脱とゴースト化でポイント全部使うだと!?
 ポイントはどうやって稼いだ!













 なん……だと……?











 自力で他者の魂捕獲して売っぱらったぁ!?
 俺は急いで金庫に向かった。開けると、ただ奪っただけの魂が雪崩れ込んでくる。
 取引なしで無理やり奪った魂など、二束三文だ。
 それが契約を交わして得た大切な魂と混ざってしまって青い顔をする。
 誰が、本人以外の魂を売ると思うだろう!
 泣き叫ぶ幽霊を老若男女関係なしに全て食べるとか……。
 その上、やたら新鮮な魂も混じっている。殺して奪ったか?
 俺はログを追う。

なんと、他者に能力付与!?
 貴重なポイントを、他者のために!?
 もはや、意味がわからないレベルである。
 更に魔物を大虐殺。
 人間も戦争で大虐殺。
 現在は、魔王認定されつつ、兄弟で魔物の虐殺の旅をしている……と。
 や、やばい!
 あの世界の魔物は上司のお気に入りなんだった!
 急いで魔物の総数を見ると、ものすごい勢いで減っている。
 俺は急いで、「プレイヤー」の所へと向かった。 
 黒竜の死体の上、せっせとドラゴンの目玉をくり抜く男。

「兄上、それ、最後の竜じゃないですか?」

「うん。雷竜扇、もっと強い魔物の噂は」

「宝石竜とか、面白いらしいですね」

 だあっ上司の一番のお気に入りじゃないか。狩られてたまるか!
俺は急ぎつつも神々しく降り立つ。

「プレイヤーよ、魂と引換にログアウトの権利をプレゼントしよう!」

「ログアウトするつもり、ありません」

 はっきりきっぱり言い、その男は剣を構えて楽しそうに、嬉しそうに笑った。
 振りかぶられる剣。

「はっ人間ごときに悪魔が切れると……」

 目の端に、黒竜が大好きだと言っていた同僚の死体が映った。

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