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第一話 襲撃

 時は後漢(ごかん)末期。

 中華は各地で自然災害や盗賊の横行、宦官(かんがん)をはじめとする役人の不正が行われて民は塗炭の苦しみに(あえ)いでた。

 そんな中、司隷河東郡解県(しれいかとうぐんかいけん)にある村が白波賊頭領、楊奉(ようほう)率いる約五百人程の盗賊達に襲われた。

 楊奉は十代後半の年齢、禿(はげ)頭で左目が刀傷で失明しており、また、熊の様な大男で武勇や統率力のある頭領である。

 しかし、性格は残忍で思量が浅く、強欲。

 この村に偶然滞在し、皇帝の居る洛陽に青龍偃月刀を献上する予定であった刀鍛冶の親子にも襲いかかった。

 たちまち、親子や村人達は捕らえられた。

 白波賊は遊戯(ゆうぎ)と称して女を強姦して酒を呑みながら奴隷として売れない老人や赤子を子供に無理矢理殺させていた。

 そして、ある十代の年齢になったばかりの紅願の少年に、白波賊に親を殺され身寄りの無い赤子を殺せと命じた。

 すると。

「関羽……。赤子を殺す様な外道になってはならん! 儂を殺せ!」

「父上!」

 この会話を聴いていた楊奉は。

「面白え! この小僧に父親を殺させよ! それならば、この赤子の命は助けてやる!」

 周りの楊奉の配下も。

「殺せ!」

「殺れ!」

 と騒いでいる。

 父親は覚悟を決めて。

「関羽! 赤子を頼むぞ!」

「父上!」

 関羽が楊奉の配下に無理矢理渡された青龍偃月刀に父親が息子の手を掴み、己の胸に刺して貫いた。

 父親の胸の致命傷から出る返り血で関羽は血の涙を流して放心状態。

 そんな中、楊奉は。

「わっはっは。小僧。童貞を捨てたな。実に楽しい遊戯(ゆうぎ)だった。お前と赤子の命は助けてやる。ただし奴隷闘士に落とすがな! 安心しろ。この父親を殺した刀は儂が貰ってやる。者共連れて行け!」

 こうして数日後、とある宦官に関羽と赤子は売られた。

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