第6話 【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の6】
せかへい 外伝 クリスマス
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第6話
【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の6】
「サンタクロース?」
老人は首を傾げる。
「わしは古屋の天井が壊れてたから補修をしてただけじゃ。…………いやぁ、お主達がきて助かった。あのままでは凍死しておったわ!! はははっー!!」
バイズは死にかけたというのに笑っていられるこの老人にため息を吐く。
ミリアはサンタクロースが現れたと思っていたが、違っていたとショックを受けていた。
「それでこんな山奥に何の用なんじゃ?」
さっきまで死にかけていたというのに元気な老人だ。もう立ち上がって冷めかけのコーヒーを飲んでいる。
「サンタクロースを探しにきたんだ」
それを聞いた老人は不思議そうな顔をした。
「サンタクロース? それは新手もモンスターか、何かかな?」
まぁ、大体その反応になるだろう。バイズはこの老人の反応に違和感はない。
「知らないのか!」
ミリアはテーブルを叩く。それを見て老人とバイズは驚く。
「い、いや、知らないのう」
老人はミリアに少し怯えてひいている。バイズもちょっとひいてしまった。
「サンタクロースはな!! 子供たちの希望の存在なんだ!!」
そう叫んだミリアは力説を始めた。サンタクロースがどのような存在なのか。どんなことをしてくれるのか。
ミリアの力の入った説明に思わず二人もワクワクしてしまった。
「どうだ!! これがサンタクロースだ!!」
ミリアは両手を腰に当てると、威張るように胸を張った。
それだけミリアはサンタクロースという存在を信じているのだ。
それを聞いた老人は「ふふふ」と笑った。
「そうか。じゃが、わしもサンタクロースには会ったことがない」
それを聞いたミリアは悲しい顔をする。だが、
「じゃが、お主は妹達にサンタクロースからのプレゼントをあげたいのじゃろ。それなら簡単じゃ」
そう言うと老人は古屋の中にある木箱の中から布を取り出した。
「お主がサンタクロースになれば良いんじゃ」
それを聞いたバイズは首を傾げる。だが、ミリアは分かったみたいで、
「そうか!! そういうことだな!!」
と言って布を受け取った。
「わしも手伝う。衣装作りをしようじゃないか」
老人は裁縫セットを取り出した。そしてサンタクロースの衣装をミリアとバイズ、そして老人の三人で作ることになったのであった。
しばらくして衣装作りが終わる。
「完成だ!!」
「そうじゃな。じゃあ、頑張るんじゃぞミリアサンタよ」
「おう!!」