第16話 『ダンジョントラップ』
この先にはトラップがある。しかし、その仕掛けが分からない以上迂闊に近づくことはできない。
「アベル。そこを退いて」
私はアベルを退かして、トラップに近づく。床や壁の模様が変わっているからどこからトラップがあるのかはすぐに分かる。
ならば、このトラップの仕掛けを理解すれば対処法がわかるかもしれない。
私は近くにあった小石を拾い、模様に変化のある道の先へと投げる。
小石は回転しながら宙を舞い、やがて重力に負けて地面に落ちた。
小石が地面に落ちたと同時に、小石の落ちた地点の壁から矢が発射される。
矢は一瞬の間に反対の壁に刺さった。
だが、これでトラップを大体理解した。これは地面にセンサーか何かがあり、それに障害物が触れると矢が発射される仕掛けらしい。
この仕掛けをどう突破するか。
私は良い作戦はないか。考える。
地面にある何かに反応しなければ良いということだ。そうなるならば空を飛ぶことができれば楽勝だ。
しかし、私にはそんな魔法は使えない。そうなると他の作戦が必要だ。
そうやって悩んでいると、アベルが私の前で腰を落としで座った。
「休んでる暇はないよ」
「違います。乗ってください」
アベルはそう言って背中を見せる。背中に乗れと?
私は言われるがままに乗ってみる。男の人の背中に乗るなんて何年ぶりだろうか。
私が乗るとアベルはそのまま立ち上がる。
「では全力で走ります。僕のスピードなら矢よりも早く動けるはずです」
…………え? 何言ってるの。
すると、アベルは私を背中に乗せたまま、模様の変わっている通路へと走り出す。
「いやーー!!」
【後書き】
怖そう。