バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第63話 マギヤvsウリッツァ班副班長オブ・ザ・ニュー

 準決勝でザヴィー班長を矢と魔法で蹴散らし、決勝戦。相手は案の定プリストラでした。
 あの結界を作る因子の能力を一戦につき一回しか使用できなくなったとは言え、プリストラの強さは結界だけではないし、プリストラの対戦相手がタケシさんも含めて格下ばかりだったのもあって、決勝(ここ)へ来たのでしょう。
 試合開始早々、矢を放とうとしたらプリストラは瞬間移動で間を詰め、私の弓を蹴飛ばしてきた。
 それに思わず、はあ?! と声をあげ、弓を手放し、それを壊されないように気遣いながらプリストラの攻撃をかわす。
「なんの真似ですか、プリストラ! 敵たる私の武器を飛ばしたら勝てるとは言え、弓を蹴飛ばそうとするやつがありますか!」
「そういえばそんなルールあったね……いやそうじゃなくて! 僕とも近距離で戦ってよ! 僕とマギヤ、なにげに近距離で戦ったことないでしょ」
「それはっ、そうでしょう、一年生から今にっ至るまで、格闘術の授業のクラスがずっと違いましたし、私は私でっ、格闘術以外の武術の授業も取っていましたし」
「そこを考慮してもさ、他の格闘術標準(・・)クラスの知り合いからマギヤの目撃証言がないの……なんで?」
「……教えてあげますよ……こういうことです!」
 プリストラの腹部目掛けて拳を突きあげる。その拳がプリストラに当た……る前に、プリストラは結界を張りましたが、それでも当人の意思に反してつばを吐きながら天高く飛んでいくプリストラ。
 プリストラが飛んでいく間に私は弓を拾い、失神で結界がとけるのを確認した後、ダメ押しに魔力をこめた矢を数本放つ。
 ところで、私、最初に矢を放とうとしたら弓を蹴飛ばされそうになったので、とっさに弓を手放したら、つがえていた矢はどうなるか。
 ……普通ならあらぬ方向へ飛びかねませんよね? そこで重力操作で矢を止め、来たるべき時が来たらプリストラの居所目掛けて飛ばし、プリストラの装備を破壊する一撃に変える。
 当たり前のことですが一応言いますと、私は今格闘用の武器を装備していません。せいぜい弓の弦で怪我しない用に手袋をしてるぐらいです。
 そんなわけで、私はプリストラに勝利、つまり、優勝……しちゃいました……。……どうしましょう、特に言いたいこと・言うべきことが浮かびません……。
「ちょっとマギヤ、今のなに……!? ただのパンチだよね? 僕の結界を貫通するわ、僕飛んじゃうわ、え?! なんで今まで隠してたの!?」
「私の拳が結界を貫通したのではなく、結界より速く拳撃(けんげき)の衝撃波がプリストラに届いて、それで飛んだだけです。私が属する格闘術特進(・・)クラスにいる生徒でも私のように威力を加減出来る者は、まだ現れていません。あと、隠していたのではなく聞かれなかっただけです」

しおり