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第58話 軽すぎ意味太郎と甘えたがり

 ウリッツァから班を追放――というより自分から出ていったようなものだが――されてタケシ班に入ることになったマギヤ・ストノスト。
 タケシ以外のタケシ班員ら――マギヤと交替でタケシ班の平男子班員がウリッツァ班に付いたので、副班長含めた女子班員ら――などが戸惑うのは、何もおかしなことではないし、むしろ戸惑わない方が無理であろう。

 マギヤが加入してタケシ班は……この上なく(はかど)っていた!
 なにせマギヤは、かつてウリッツァ班の頭脳としてヴィーシニャ警護の作戦立案を担当していたし、
魔法関係について言うなら、体内魔力量は58の魔力50以上110未満(ハイマナ)、魔法適性は今年に入って水適性がAからSに上昇したと言うし、
今までタケシ班にいなかった遠距離武器使い、しかもあの人ことロリアス・パソビエをいつでもどこでも、魔法や武器を使えない状況になったときでも仕留められるように近接戦闘も武器の有無を問わず対応可という、よく考えなくても超スペックな人材であった。
 それと去年、ヴィーシニャの誕生日プレゼントのペンダントに位置情報の監視魔法をかけた人物なのも忘れてはいけない。

「えっと、マギヤ、平班員って今の地位、正直、役不足じゃあない……?」
 ある時、タケシ班副班長メルテルはマギヤにそう尋ねたところ、マギヤは栗みたいな口でこう返事をした。
「役不足ってあれでしょう、当人の力量に対して役が軽すぎるって意味ですよね?」
「だから言ってるんだけど……!」


 一方、マギヤがいなくなってウリッツァ班は……どちらかと言えば(とどこお)っていた。
 ウリッツァは、最初に言ったようにマギヤと交替でタケシ班の得意属性が水属性な男子を引き入れた。
 が、その男子の水属性適性は日常警護班に加入するときの魔法適性検査で上位から三番目、「まだまだ(Bon)人」のBを示した程度。
 去年日常警護班に加入する時点で水属性適性がAmazingのAを示したマギヤと比較してしまうと、代わりの人がなんだか可哀想である……魔法以外の能力も正直あまりパッとしないので余計に……。
 それで、マギヤがいない分を、じゃんけんで勝ったので副班長代理となったプリストラと、まだ誰にもマギヤと付き合い始めたことを言っていないトロイノイが補うべく、二人であれこれ話し合うことになった。

「ほんと、びっくりだよね……」
 何が? と尋ねたトロイノイに、プリストラは、マギヤのこと、と答え、トロイノイは何も思わなかったの? と尋ね返す。
「……少し前にマギヤ本人が言ってきたから、そんなには……。今思うと、話の内容より話してるときの様子が、だいぶおかしかったんだけど」
 具体的には? と掘り下げようとするプリストラ。それに対してトロイノイはこう答えた。
「まずあたし、ちょっと前に、マギヤから急に恋仲になりませんかって告白されて付き合い始めて……」
 そこまで言ったトロイノイの言葉に、プリストラは目を丸くする。
「え、マギヤって女の子にそういう興味持てたの?! ……いやごめん、話、続けて」
「それで付き合い始めた翌日に、自分がウリッツァの平穏を乱していたからウリッツァとしばらく離れようと思ってるって言ってきたのよ……あたしを抱きしめながら」
 「えっ、ええ……」とプリストラはドン引く。
 同室の同性の友人にあんなことこんなことしてたという話は、人を、異性を抱きしめながらする話ではない。
「抱きしめながら話す理由聞いたら、『部屋は無論、班も出ていくのでトロイノイの充電を』とか、微妙に訳の分からない理由しか話さなくって。あくまで聖女親衛隊はやめないくせに……」
「……マギヤ、聖女親衛隊関係者以外に知り合いがいないようなもんだから、一から……いやゼロからかな……人間関係築くのが煩わしかったんじゃない?」
 

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