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《閑話 生前の”タマ”の日常》

 
挿絵



”ンミャーン、ンミャーン”
(タマが来たニャンよ。あけてニャン。あけてニャン。)

今日も”食べ物をくれる係(母親)”が勝手口を開けて迎え入れてくれる。

するりと中に入り込むと、お礼とばかりに足元にスリスリ。

(柔らかくてフワフワであったかニャン。)

”食べ物をくれる係(母親)”に抱きかかえられ、足裏を雑巾で拭かれることしばし。

最初の頃は肉球がこそばゆく嫌だったが、今では抱っこしてもらえるのでむしろ好きだ。

拭き終わり床におろしてもらうと、いつものパトロール開始。

台所からリビングへ向かい、そのまま脱衣所までゆっくり忍び足。

気になるところは丹念に匂いチェック。今日も問題ないようだ。

1階をひととおりパトロールし終えると、いつも通り”大っきなタマ”を探して2階へ。

階段をトタタタと駆け上がり、2階の子供部屋の前に。

”ンミャーン、ンミャーン”
(タマが来たニャンよ。あけてニャン。あけてニャン。)

しばらくすると、”大っきなタマ”がいつも通り部屋のドアを開けてくれる。

すかさずスルリと部屋に潜り込み、まずは部屋全体をパトロール。

そしてお気に入りのベッドに飛び乗って欠伸をひとつ。

ベッドの上にいつもの毛布を見つけると、そそくさと近寄り、スンスンと匂いチェック。

(いつもの大好きなやつニャン。)

何かのスイッチが入ったかのように、前足をグーパーグーパーしながら一心不乱にフミフミを開始する。

”ブルルルグルルル”と鼻歌交じりに大好きなフワフワと匂いを楽しむ。

夢中で堪能することしばし。

満たされた後は身だしなみを整える。

自慢の柔らかくて滑らかで艶のある黒い毛並みをいつも通り丁寧にグルーミング。

すると”大っきなタマ”がやってきてベッドに横になり、タマの背中をナデナデし始めた。

タマもお返しとばかり、”大っきなタマ”をペロペロ。

どうやら”大っきなタマ”は自分で毛繕いできないみたいだ。

”ニャーン”
(世話が焼けるニャン。タマが毛繕いしてあげるニャン。)

せっせと”大っきなタマ”の毛繕いに勤しむタマ。

”大っきなタマ”の黒い学ランの左手首辺りが納得いく程度に整ったところで、一休み。

”ニャーン”
(一緒に寝るニャン。)

ベッドに横になっていた”大っきなタマ”の腕の中にいそいそと潜り込む。

今日も大好きな場所で大好きな匂いに囲まれる。

大好きな”大っきなタマ”の腕の中でその温もりを感じながら、静かに寝息をたてるのだった。

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