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第102話

「っ……」

 目で合図を送る、ルシーナ。

 二翼のアーティナル・レイス達は、ナオ達にエネルギーライフルを撃った。

 エネルギーライフルの発射速度は、実弾のそれを軽く超える。敵が撃ったのを確認してからでは、避けることはほぼ不可能と言っていい。

 エネルギーライフルの銃口から放たれた光線は、ナオ達に当たった。少なくとも、そう見えた。だが、その光線は地面に穴を空けただけで、ナオ達は無傷のままだった。

「何をしたのですか……?」
「…………」

 ルシーナに聞かれるが、ナオ達は答えない。その余裕が、彼女達にはないからだ。

 リミッター解除は、アーティナル・レイスの性能を、最大値――一〇〇パーセント引き出すが、オーバー・リバレイトは人工頭脳の処理速度と、身体中の人工筋肉へ伝える電気信号、データ量を激的に増すことで、一五〇から一八〇パーセントという、まさに限界を超えた性能となる。だがその分、消費エネルギーは増加し、体にも相応の負担がかかる。少しでも気を抜けば機能停止となる、まさに諸刃の剣だ。

 そのことを悟られぬように、ナオ達は無言のまま――赤くした目で睨み、武器を構えた。

「……なるほど。それがあなた達の、奥の手というわけですか」

 ルシーナも構え、ブレードの剣先をナオに向ける。

「ふふふ……いいですよ。あなたの全力、見せてください――!」

 ナオに向かっていくルシーナ。それを皮切りに、再び両者の戦いが始まった。

「――ッ!」

 ルシーナのエネルギーブレードが振られる。その速度は、先ほどよりも力強く速い。その一撃は轟音を鳴らし、地面を切り抉るほど。

けれどナオはそれを避け、ルシーナの後ろに回り、エネルギーブレードを抜いていた。

「っ!?」

 すかさず、ルシーナはエネルギーブレードで防ぎ、互いの光の刃が激突。オーバー・リバレイトによって出力と威力が増したナオのそれは、強烈な風と振動を生み出し、ルシーナを押す。しかも、ルシーナのエネルギーブレードの背――発生器にあたる部分まで至り、ジワジワと切っていく。

「な……にっ!?」

 流石にこれは、ルシーナにとって予想外だったのだろう。目を見開き、スラスターを吹かして後退するが、それをナオは許さない。

 ルシーナ以上のスラスター出力を発揮し、そのまま一気に押し込んでいき、建物や瓦礫に突っ込んでいく。

「ぐっ、ぅ!」

 ルシーナは六枚のうち四枚の装翼で、背中と頭部をガードする。

(今だ!)

 ナオは左手で、もう一本のエネルギーブレードを握り、発動。顕になっている二枚の装翼のアーム部分に狙いを定め、切断した。

「しまっ――!?」

 ルシーナに空きが生じ、ナオはすかさず彼女のエネルギーブレードを弾く。

(ターゲットポイント……ロック!)

 ナオの視界に、文字が浮かぶ。

 “Load-Vernal Strike”

(ヴァーナル・ストライク――!)

 ナオは渾身の力を込めて、必殺の技を放った。

しおり