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刃夜―④―

P.M8:17  西ヘイスティング通り(ストリート)

『アメリカ政府が絡んでいるだと……。全くあの国は、左右関係なく、物事をややこしくする』

 エリザベスのぼやきが、ブルースの携帯通話端末の受話器から聞こえてくる。

 ロックから数分前に送られた情報を見て、ブルースの方に、エリザベスから着信を得た。

「正確には、そこの()()()()()が。ワールド・シェパードや“ホステル”の対応にも追われているのに」

『使えるものは使うというが、“使()()()”後のことを全く考えないのがアイツ等らしい』

 スピーカー越しからのエリザベスのオチに、ブルースは大きく笑った。

使()()()()か、こっちも耳が痛いな……」

『耳よりも、()()()()()()()()()が先だ。状況は?』

 エリザベスに促されながら、頭痛の元凶を見つめる。

 赤と青の光が、瀝青の帳に覆われたビル街の一角で散乱。

二色の光の大本である、警察車両の警告灯は、ビルの中で一際突き出た、大槌の様な陰影を浮かべる。

 ハーバーセンタービル。円盤型の展望台は、360度回転するレストランで、西海岸の山々を楽しみながらの食事が魅力で、気象によっては、隣国も国境線なしで一望出来る場所だ。

90年代のITブームの象徴にして、地元の大学という二つの顔を持つ。

だが、それはあくまで、()()()()()()()()()に過ぎない。

目に見えない地下には、ブライトン・ロック社が資金援助をしている研究施設が人知れず存在していた。

企業で研究を行う場合、どうしても利益が優先となる。

必然的に、そう言った方向に舵が取られるので、ウィッカー・マンの解明というよりは、“殲滅”が主軸となり、殲滅方法を巡った営利競争が起きてしまう。

 純粋に利害を超え、未来に向けた建設的な研究が出来る大学に、“ブライトン・ロック社”は研究の許可を出しているのだ。

しかし、やることはウィッカー・マンの残骸の分析やUNTOLD関係で亡くなった者の検視に限られていたが。

 今回の出来事で命を落としたキャニス、デュラハンに入っていた男も、その場所に保管されている。

 だが、ブルースは、仲間のキャニスの遺体の対応について、協議をしようと、施設へ連絡したが取れなかった。

その後、ナオトから「ハーバーセンタービルで話したいことがある」という連絡も頂き、ブルースは、警察の赤と青の警告灯で彩られた、ハーバーセンタービルの花祭を眺めるに至っている。

「結論から言うと、()()()()()()()()かと言われれば、()()と考えた方が良い」

 警察官との話を終えたナオトが、ブルースに向かって来る。

 右手の携帯通話端末を、銀色の鎧を纏うワールド・シェパードの専務に渡すと、

「そちらの研究員の親類が、連絡のつかないことを不審に思って、関係者同士の連絡を取り合ったら――」

 ナオトが受話器越しに、エリザベスに状況を離し始めた。

 SNSや短文投稿サイトなど()()()()()()、職場の情報を公開してはいけないことは、情報管理として当然、徹底させている。

だが、人間関係まではそうはいかない。労務管理がある以上、()()()()()()()()()()()からだ。

 ナオトから携帯通話端末を返され、

『人の口に戸も建てられない。結婚や交際の自由も……仕事に支障が無い限り、否定できんからな』

 通話端末の向こうでエリザベスが鼻を鳴らすと、ブルースは端末を切る断りを入れた。

 隣のナオトともに、警察官の集まる場所へ向かう。

 背広の上に市警のマークの入ったジャケットを纏った男性が、ブルース達を出迎えた。

「ナオトさん、ブルース=バルトさん。レイナーズと言います。ミシェル=ジョアン=レイナーズ。警部です」

「ブルースで良い。レイナーズ警部」

 右手で握手を交わし、レイナーズが戸惑いながら、

「ナオトさん。この方が……」

()()()()()()()()人物だ」

 ナオトに紹介されたブルースは警部に向かって、愛嬌の瞬きを見せた。

「多様性を認めることは、()()()()()も例外ではありません」

 レイナーズは、ブルース達を見て大きく笑う。

 雨に濡れた焦げ茶色の髪が、ビルのネオンと警告灯の明かりで映えていた。
 
体は、自分とナオトの中間位の背であるが、現場を活動するに足るガタイの良さが、自分と知り合いの東洋人に比べて引き立っている。

「鍵の選択として、自分を認めてくれて感謝する。レイナーズ警部」

 ブルースも、笑顔で返した。

 警察が、得体も知れない海外の勢力と共に、ウィッカー・マンと戦うことに拒否感を示す者は多い。

だが、何人かは、ワールド・シェパード社との協力関係が欠かせないことも理解していた。

レイナーズ警部は、ワールド・シェパード社内の少数派であるナオトを選んだ様だが、ブルースの視線に気づいて、

「あくまで、街を守るための選択肢です。最善と言われるものを取るか、引き出すための」

「それで、十分だ。応援は――」

「必要なし。ナオトさんとブルースさんが、事態を確認してからの連絡、ですね」

 そのあとに続く言葉をレイナーズに言われ、ブルースは面食らった。

「必要事項の確認はある程度済ませているよ、ブルース。問題は……」

「暗証番号を知っているか、だけです。知らなかったら、後ろに手を回し這いつかせ、()()()()()()()()()()()()()に合わせます」

 ナオトとレイナーズの皮肉の応酬に、ブルースは肩を竦めて、ハーバーセンターの入口へ向かう。
 
ハーバーセンタービルのドアを開けると、大学内の図書館がブルース達三人を出迎えた。

「図書館ですか……?」

 夜の帳が降りる午後5時に閉まる為か、教育機関に通う者達の醸し出す、独特の喧騒は無い。

「人の活動を律し、決定づけるのは、何時だって言葉と文字と本だ」

 ブルースは鍵を、胡乱な顔と神妙な顔もちで、レイナーズとナオトの前で開けた。

 扉を開けて、静寂に包まれた図書館を進み、ブルースはルネッサンス期の文学の本棚に止まる。

 ブルースが取り出した本を見たナオトは、

「ダンテの“神曲”……ブルース、それ好きなんだ」

「家内が好きです。イタリア関係の文学……特に、ルネッサンス期は煩いですよ?」

 背後で繰り広げられたナオトとレイナーズのイタリア旅行の話を他所に、ブルースは神曲のページを開く。

 そのページは、ダンテの神曲の時獄篇、“第三歌”。


 憂いの国に行かんとするものはわれを潜れ。

永劫の呵責に遭わんとするものはわれをくぐれ

破滅の人に伍せんとするものはわれをくぐれ

正義は高き主を動かし、

神威は、最上智は、

原初の愛は、われを作る。

我前に創られし物なし、

ただ無窮あり、われは無窮に続くものなり。

われを過ぎんとする物は、一切の望みをすてよ


 ブルースが暗唱し終えると、機械音が響いた。

目の前の本棚が、振動し、左へ滑る。

 本棚のあった場所には、鉄の扉。

 ナオトとレイナーズが息を呑んでいるのを横目に、ブルースは鉄の扉を開けた。

 奥には、更に同じ素材の扉がもう一つあり、その隣の液晶受像機台の画面に演算器をブルースは叩く。

「レイナーズ警部。人が出入りをした場合、ここのコンピューターから記録が発信され、関係者に送られる。つまり()()()に。しかし、俺たちは()()()()()()()()()()()()()

 ブルースの言葉に、口を開いて呆けていたレイナーズの顔に緊張が走った。

「わかりました。応援を呼び、外で待機させます」

 携帯無線を掴んだ、焦げ茶髪の警部は、その場を後にする。

「死んでいるということか?」

「ああ、全員な」

 ナオトの言葉に、ブルースは短く答える。

 UNTOLDに目を付けられた者は生きられない。

 先程のナオトとレイナーズの会話で出たテーマではないが、地獄巡りの入口のドアノブを、ブルースは握った。

「安心してくれ、ドアは普通に開けられる」

「安心していいのかな……そこ?」

 ブルースの言葉に、背後のナオトは溜息と共に応える。

 我ながら、ダンテにちなんで言うが、ナオトは愚か、ブルースの内心も笑っていない。

 何故なら、二人を出迎えたのが白い冷気だったからだ。

 しかも、白い室内灯はその寒さで凍った空気により、その輝きが一段と映えている。

「UNTOLDの保管施設という話は聞いていたけど……ブルース、ここはこんなに寒いものか?」

 ナオトの言葉が示す様に、視界は白い蒸気が立ち込める白一色。

「液体窒素が噴出している。強化外骨格のヘルメットの酸素の残量を確認しろ」

 白い霧は液体窒素ではない。

 液体から気化した時に、冷やされた空気だ。

 空気中の酸素が、液体窒素に触れ、白い煙として圧縮。窒素が多くなり、呼吸困難に陥る。

 ブルースの背後でナオトが犬耳兜を被りながら、

『ブルース……君は、大丈夫なのか?』

()()()()()()()()()()()()()()()()……酸素もある程度、作ってある」

命導巧(ウェイル・ベオ)、正確にはブルースの命熱波(アナーシュト・ベハ)で陰イオンを操作。その電気分解で予め酸素を、二丁のショーテル型命導巧(ウェイル・ベオ)、“ヘヴンズ・ドライヴ”の弾倉に入れておいたのだ。

「欲しければ一発やるけど?」

振り返りながら、ブルースは“ヘヴンズ・ドライブ”を突き出す。
 
彼の背後には、銀色の犬耳の兜に覆われたナオトがいた。

 右手には、まるで背骨の様に連なる鞭がある。

『狙わっていないよね?』

 右掌で鞭の取手を見せながら、両手を上げた。

 苦笑しつつブルースは、白い煙に包まれた部屋を背に、“ヘヴンズ・ドライブ”の酸素入りナノ銃弾を放つ。

 命熱波(アナーシュト・ベハ)で作り出した酸素を確認し、ブルースは地下に続く白い世界を歩き出した。

『そういえば、鬼火についてだけど……』

「自然発火現象だろ……起こしている奴は、見当が付いている」

 背後のナオトに、ブルースは歩を止めずに答えた。

「ヘンリー=ケネス=リチャーズ……発火能力を持つエクスキュース」

 エクスキュース。

 本来、ロックやブルース、キャニスは、疑似人格“命熱波(アナーシュト・ベハ)”の力を引き出す為に、命導巧(ウェイル・ベオ)という武器を使う。

 しかし、命導巧(ウェイル・ベオ)には、もう一つの役割がある。
 
それは、命熱波(アナーシュト・ベハ)を使う際に発生する、余剰次元展開の熱出力から能力者を守ることだ。

 エクスキュースの場合、命導巧(ウェイル・ベオ)を持たない。命熱波(アナーシュト・ベハ)を酷使することで、余剰次元発生の熱量を物理変換。

「エクスキュースは、分かりやすく言うと……手で、銃弾を“銃なし”で放てる。しかし、弾丸の発射薬や燃焼ガスは、体から作られる。攻撃する際もダメージを負うから、体の再生機能を()()して、結果的にリア・ファイルが回復機能を奪う」

『生きる為に能力を使うことで、死への階段を一段飛ばししているという意味か?』

 ナオトの一言にブルースは頷き、続けた。

「回復エネルギーを得る為に、暴食になる。場合によれば、ウィッカー・マンと同じ様に人をエネルギー変換して自分のものにする」

 ブルースは、言葉と足を止める。

 彼の前にあるのは、エレベーターだ。

 階数を示す電光板は、“B6”で止まっている

「エレベーターでしか、地下に行けない」

『地震が起きたら、出られないじゃないか?』

 ブルースはB6の鍵盤を押して、

「最下層のB6には、研究棟に幾つか、市内へ繋がる非常口がある。しかし、これも電子管理されているので、使用した場合は、記録に残り、俺を含めた関係者に送られる」

 使われていれば、任務は『()()()()()()()()』に変わり、地下へ潜る必要がなくなるだろう。

 階数が早く減少し、到着を報せる鈴の音が冷気で、反響する。

 ブルースは開いた昇降機の扉に入り、ナオトの搭乗も確認し、”B6”の鍵盤を押した。

 滑車の音が響くとナオトが、

『そういえば、ケネスは……ウィッカー・マンの様に、エネルギーを食べると言っていたけど……そうでない場合――つまり、命導巧(ウェイル・ベオ)使いは?』

 ナオトの犬耳兜を通した疑問に、

「俺たちのことなら、大丈夫。命導巧(ウェイル・ベオ)がリア・ファイルの調整をするし、人を殺さなくても、リア・ファイルの粉末の入った水や食事を取っている。俺たちに過不足はない」

 ブルースの言葉に納得し、ナオトは矢継ぎ早に、

『でも、現に、ケネスは僕たちの社会で逃亡し、バンクーバー市内で潜伏していた。それは、ある程度目立たず、()()()()()()()()()()()()()()()()()が使われている……という意味じゃないのか?』

「少し前のワイルド・ハント事件で、命導巧(ウェイル・ベオ)も無くなる。使い手も死ぬか、サロメ側に回る。その時の騒動で、当然、生命維持用の“リア・ファイル”はなくなっている」

 ブルースの語る事実に、ナオトの顔が曇った。

 欧州を滅亡から救ったのは、深紅の外套の守護者(クリムゾン・コート・クルセイド)というのが一般認識である。

 だが、何事も一人で大義を成しえることはない。

ワイルド・ハント事件が目を引いたのは、英国の主要都市に、未確認飛行物体――“救世の剣”とサロメ達が呼ぶものが現れたからだ。

世界を作り替える程の熱出力を発生させ、“ホステル”が望む存在の復活を目論み、阻止に払われた犠牲。

その中にナオトの親友も含まれていたことをブルースは、よく知っていた。

また、“救世の剣”の起動にロックが使われ、彼の愛した少女がその破壊と、彼を守る為に命を差し出したことも。

 ブルースも含め、あの事件に立ち会った者たちは、世界を守る為の代償に、己の半身と言えるものを失っていた。

『発火現象だけど、()()()()()()()()()()ことがある』

 ナオトの言葉に、ブルースは振り返った。

「端的に言うと、死体がおかしい」

 昇降機が止まった振動で、揺れる。

 電光板の表示は“B6”。

昇降機に乗る前は、少し体を震わせる寒さだったが、それが、ブルースの体の奥底にまで達している。

 ブルースは、口から白い息を出しながら、昇降機のシャッターの向こうを見据え、

「話は後でじっくりと、地獄の寒さを楽しみながら聞こう」

「……休暇が今すぐ降りても、“憂いの国”は願い下げだね」

 ナオトは、鞭を構えた。右脚を下げ、半身を切る姿勢を取った。

 昇降機の前に続く長い通路。

 液体窒素で圧縮された空気の白煙をかき分けながら、ウィッカー・マン:クァドロが二体突進してきた。

 一体目と鉢合わせを交わす直前、ブルースの眼前で、クァドロの顔面がXの字に割れる。彼のショーテル――“ヘヴンズ・ドライヴ”――の交差斬りが、四足歩行の疾走を止めた。

斬撃によって、全身を弛緩させる銀灰色。

ロックから教えられたクァトロの左胸の急所に、銀色の骨が突き刺さり、倒れる。

 ブルースは、銀細工の刺突がナオトの鞭であることを視認。

 銀騎士の攻撃に倒れた一体目を、二体目が飛び越える。

爪の二連撃がブルースの頭部を捉えた。

 銀灰色の前脚の爪を前屈みで躱すと、ブルースは背を向けながら上体の腰の発条を跳ね上げた。

 背中越しに突き上げられる、クァドロの下顎。そこから掛かる衝撃が銀色の四本足の全体が天井に衝突した。

 ナオトから放たれた鞭が、四つん這いの首に纏わりつく。

 呻きの様な駆動音を漏らしながら、クァトロの胴体は銀騎士の鞭捌きで天井から引き剥がされた。

ブルースは二刀のショーテルで、鞭に引かれるウィッカー・マンを両断した。無論、左胸を含めることも忘れない。

「聞こうか?」

『今聞くことかい?』

 後をいつか言うのを忘れていた。ブルースの反応に、ナオトは面食らいながら、

『あそこにあるのを見れば、早いと思う』

 ナオトからブルースに指し示されたのは、扉が大きく開いた小部屋。

開かれた扉の向こうに、机、冷蔵庫にいくつかの椅子のある部屋――休憩室だった。

 ブルースがナオトに言われるまま入ると、液体窒素と空気の白煙が、生活臭ごと家具類を覆った風に思える。菓子や果実類にも霜が降り始め、バナナはその中で異質な明るさで映えている。

 生活空間が冷凍保存された中、防寒服に焦げ付き、熱で解けたプラスチック製繊維が焼けた肉体と接合している――『()()()()()()』の炭塊が二つ。

『鬼火事件は、市街地で起きていた人体自然発火現象と言われているが……』

 ナオトの説明に、

「この遺体は、体内の放電とプラズマによるものだ。ウィッカー・マンによって殺されるのと同じだ。自然発火は、ケネスの場合、マイクロ波照射だから、どうしても皮膚表面の水分を振動させ、皮膚が泡立つ」

 ブルースは、部屋の遺体と化学凍結された生活用品を手袋越しに確認して、言った。

『今回の遺体は、殆どが体内電流からやられたもの。しかも、地下だ』

 ナオトの推測を、ブルースは聞きながら遺体を触り、見渡す。

 鬼火とかで騒がれている事件は、ウィッカー・マンと繋がっている可能性が高いと考えた方が早かった。

「それに加えて、入り口は一つしかない。実験棟の避難口に使用形跡もない……」

 そのことに、ブルースも疑問はあった。

『なら、ウィッカー・マンは何処から来た?』

 ナオトの兜越しの声の電子音声を背に、ブルースは立ち上がる。

 休憩室を出ると、順路を足早に駆け、一室に踏み込んだ。

 一際、大きな白煙が密集していた場所には、“液体窒素”と書かれた金属筒が立ち並んでいる。圧力計は全て、赤色の扇に針を指し、金属筒は何れも原形を留めていなかった。

 ナオトの足音がブルースの耳に響いた時、人型の炭塊を二体確認。

 しかし、他の人型の炭と違うのは、

『穴が開いている……』

 遺体を見ても、ウィッカー・マンから乗られたことによる衝突の形跡や、前脚が掛かった形跡もない。

 それぞれの人炭には、喉と腹に穴が開き、焼かれた人体と防寒服の境界を黒く塗りつぶされている。塗りつぶされた箇所をよく見ると、人の手首の大きさだった。

『言いたくないけど……デュラハン起動、サキちゃんに関わる騒動に、発火事件。全てが無関係というのは難しいかもしれない』

「或いは、何かの布石か……?」

 ナオトの推察に、ブルースも推理を出す。

これらの出来事は、ワールド・シェパード社や“ベターデイズ”、バンクーバー市内の反ブライトン・ロック社の派閥を超えた何かの意思が、見え隠れしていた。

()()()()()も良い方法があるぜ?」

 ブルースは部屋を出て、顎で示した一室。

 その先で、冷気を吐き続ける部屋――実験棟の扉だった。

「あの部屋にいる馬鹿に聞けってこと!」

 ブルースは言って、腰を入れた右回し蹴りで、扉をぶち開ける。

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