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第17話 4人組

「現時点を以て、第一試験は終了とする。合格者はこの食堂にいる者のみとする!」
「たった23人か」
「第二次試験の内容を発表する」

 シルバーが食堂の中央に設置された台の上に立ち、高らかに二次試験の内容を発表した。

「4人組のチームを作れ」
「4人組?」

 一次通過者は23人であるため、1チーム4人としても、1チームだけ3人チームとなる。

「不公平じゃね?」
「まぁいいんじゃね? メンバー選びも大事ってことだろ」
「ここにいる連中はみな、仲がいいグループ同士で来てるみたいだから問題はないだろ?」
「あそこを除いて、な」
「3人と使い魔かよ。3人チームはあそこだな」

 メイビスたちの方を見て、上級生と思われる男子たちが笑っていた。

「また明朝、朝9時にここへ集合するように。以上!」

 シルバーの話も終わり、みな自分の部屋へ戻っていった。イクトたちも自分の部屋へ戻ろうとすると、シルバーに呼び止められた。

「イクトくん」
「はい?」
「今回の試験、イクトくんが解いた。そうだね?」
「はい」
「さすがだ、イクトくん。しかし、もう少し早く解けると思っていたが」

 イクトはシルバーを真っ直ぐ見た。シルバーの言わんとしていること、イクトが言わんとしていること。お互いにわかっていた。

「4人」
「ん?」
「俺をいれて丁度4人です」
「しかしだね」
「ここにいる者のみ。先生はそういいましたよね?」

 ここにいる者のみ、という言葉はミスリードにすぎない。元々、今回の試験を発表する場に学生や職員以外にもメイドたちを集めたところからトリックは始まっていたといえる。もっとも、それに気づいた学生やメイドたちはいなかったが。

「先生たちは一言も、学生のみとは言ってませんものね。召集したときからいまの今までで」

 そう、シルバーもマーベラスも一言も学生のみとは言っていない。

「どういうこと?」
「簡単に言えば、今回の試験には学院関係者なら誰でも参加してもいいってこと」
「マジか」
「頑張りなさいよ。君たちには期待している」
「はい!」

 そうして、俺たちはそれぞれがそれぞれの部屋へと戻った。誰もいなくなった食堂に、人影があった。

「やはり、彼は侮れませんね」
「未知の言語を読むことができて頭が切れる、か」
「あの計画を実行するには、やはり彼が必要ですね」
「しかし、あの計画を実行するには、まだいくつかピースが足りない。いずれ時期は来るだろう」

 足音が近づいてくるのに気づいた二人はその場から姿を消した。

「うむ、異常なし」
「明日が楽しみですなー」
「うむ。学院最強の4人が決まると言っても過言ではないですからな!」
「では、明日に備えてもう寝ましょうか」
「うむ」

 そして次の日の朝。イクトは6時に目が覚めた。二次試験開始は9時のため、まだまだ時間はたっぷりとあった。
 廊下に出ると、ローグが居た。彼もまた目が覚めてしまったようだ。

「お、イクトか」
「二次試験までまだまだ時間あるぞ?」
「なーんか、寝れなくてな。お前は?」
「俺もだ。恐らく三次試験もあると思う。んで、その試験の朝もこうして話をしてる気がする」
「奇遇だな。俺も同じことを考えていた」

 二人は話ながら食堂まで来ていた。朝も7時になろうとしているころなので、朝ごはんを食べに学生たちがパラパラと来ていた。その中に、メイビスとアスカの姿があった。

「おはよ」
「おはよう。早いのね」
「お前たちこそ」
「なんか目が覚めちゃってねー」
「俺たちと同じだな」

 この食堂はよくあるビュッフェ形式の食堂で、各々が好きなものを取って自分の席で食べる。

「どんな内容になるんだろうな」
「いくらでも考えようはあるけどね」
「一番可能性が高いのはやっぱり戦闘とかか?」
「かもねー」

 イクトたちは試験のことを話ながら、ご飯を食べていると、シルバーたちが食堂に入ってきた。

「おはよう、諸君。さて、聡明な者なら気づいているとは思うが、今回の試験、一次試験はすでに終了している」

 その言葉に食堂内は騒然とした。試験が今日から始まると思っていたからだ。

「試験要項の紙は持っているかね?」

 一斉に昨日渡された試験要項の紙を取り出した。実はこの紙、ある魔法がかけられており、ある時間をすぎるとその魔法が発動するようになっていた。その魔法とは解除(ディスペル)である。

「紙に書いてあるとおり、昨日の22時までに来たものを一次試験合格者とした。このあと9時過ぎより、二次試験を執り行う。一次試験合格者は広場に集合するように。以上だ」

 シルバーはそれだけ言うと、食堂を後にした。
 シルバーが去っても食堂のざわつきはおさまらなかった。
 イクトたちは、二次試験の準備をするために一度部屋へ戻り、8時半に休憩室に集まることにした。

「年のためにこいつも持っていくとして。よし、これで準備完了だな」
「イクト、どうだ?」
「準備完了! 行くぜ、ローグ」
「ああ」

 休憩室に行くと、すでにメイビスとアスカがそこにはいた。

「遅かったじゃない」
「準備に手間取ってな」
「イクト、ローブなんて持ってたんだ」
「この前、おっさんから届いたんだ。なぜか」
「ふーん」
「おい、そろそろ行こうぜ」
「よし、行くぜ!」
「おー!」

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