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第27.5幕 迫る魔の手

1
「ふふ、来たわね」
光の街の外。天奏は此方へと近付いてくる三人を見て、笑みを浮かべた。
「……一体、俺達に何の用だ? 」
「そう警戒しないでよ。あなた達には良い話よ」
そう言い天奏は前に立つ三人ーー雷牙、夜天、光輝を順に見る。
「あなた達が此方の言うことを聞いてくれるのなら、あなた達の国にはこれ以上被害は加えないわ。どう? 」
「どうって、世界がお前らの物になったら、どちらにしろ支配下だろ」
「それでも、他の国よりは優遇してあげると言ってるのよ」
「……今まで光の街をさんざん攻撃しといて、何を今更……」
「封魔達を駒に出来なくなったから、次は俺達ってか?……断ると言ったら? 」
光輝と夜天に天奏はニヤリと笑った。
「……わかってるでしょう?真っ先にあなた達の所を潰してあげるわ。既に魔神族の軍の一部を配置してあるの。断れば、城と街への攻撃を開始する。そうなれば、かなりの被害が出るでしょうね。……それに、頼みというのはそんなに難しいことじゃないのよ。まぁ、それでも出来ない人がいるからあなた達にも話したのだけど……。ねぇ? 」
そう言った天奏が視線を向けたのは雷牙だった。
「雷牙? 」
顔を俯かせている雷牙に、夜天が訝しげに声を掛ける。
「どうしたんだ?何だかおかしいぞ」
「……ふふ、あなたの口から話してあげたら?あなたがのんびりしているから、その二人も巻き込まれるのよ」
「…………」
それでも雷牙は顔を上げることもしない。
そんな彼に夜天と光輝が視線を交わしあった時、漸く口を開いた。
「…………封魔が意識を取り戻す前に始末する」
「「はっ? 」」
ポツリと呟かれた言葉を二人は聞き返す。
「……それが、……俺に与えられた任務だ」
「ちょっと待て!何でお前が!? 」
「姉上達は戻ってきたんだ。お前も魔神族の言いなりになる必要はもうないだろ」
「……それが、そうはいかないのよね」
「何? 」
「……わかってるでしょう?真っ先にあなた達の所を潰してあげるわ。既に魔神族の軍の一部を配置してあるの。断れば、城と街への攻撃を開始する。そうなれば、かなりの被害が出るでしょうね。……それに、頼みというのはそんなに難しいことじゃないのよ。まぁ、それでも出来ない人がいるからあなた達にも話したのだけど……。ねぇ? 」
そう言った天奏が視線を向けたのは雷牙だった。
「雷牙? 」
顔を俯かせている雷牙に、夜天が訝しげに声を掛ける。
「どうしたんだ?何だかおかしいぞ」
「……ふふ、あなたの口から話してあげたら?あなたがのんびりしているから、その二人も巻き込まれるのよ」
「…………」
それでも雷牙は顔を上げることもしない。
そんな彼に夜天と光輝が視線を交わしあった時、漸く口を開いた。
「……彼、本当は魔神族なんだもの」
それを聞いた夜天と光輝は驚いたように雷牙を見た。
「……とにかく、よく考えることね。どちらを選ぶかで、あなた達の大切なものがどうなるのか決まるのだから」
そこまで言って、天奏は話は終わりだと手を振った。
2
雷牙、光輝、夜天を光の街に戻した天奏の背後に二人の男女が現れる。
「ほら、あなた達も動き出しなさい。〈息子〉の手を汚させたくないのなら、あなた達が手を下すしかないのだから」
「……あの……、本当に今回の件を済ませれば、私達はこの戦いに関わらなくてもいいんですよね?あの子も……あの子が望む通りに生きていいんですよね? 」
「ええ。そう言ったでしょ。……今回のことだけ手伝ってくれたなら、あなた達はもう関わらなくていいわ。好きにしなさい」
それを聞いた男女は一度だけ視線を交わし、覚悟を決めたように天奏に一度頭を下げてから姿を消す。
そのことを確認した天奏は、少し離れた所へ視線を向けた。
「……破皇」
「……ここに」
天奏の呼び掛けに一人の男が姿を現す。
「あとは任せるわ。……もし、妙な動きがあれば、わかってるわね」
「はい。わかっていますとも。……魔神族十人衆が一人、この破皇にお任せを」
そう言って、ニヤリと笑みを浮かべた破皇に天奏も満足そうな笑みを浮かべた。

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