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セルウィ視点 2

「よっしゃあああああああああああああああああ!! 自由ゲト――――!! セルウィ!!」

 ある日、ラーグが矢のように走ってきて抱きついてくる。

「セルウィ! ダーリン! 愛しているぜ畜生! ホモ疑惑で勘当された! しかも金貨50枚付きで一般生徒として学費も払ってもらえる! つーか第三寮ではなくて、第二寮! つまり俺は自由だ! セルウィが国に帰るときもついていける! セルウィ!! 変態紳士に俺はなるぞー!」
「落ち着け、わかったから落ち着けラーグ。えーと……責任は取ろう。幸せにするぞハニー」
「ダーリン! あああ、嬉しい、やばい、すげー嬉しい! 早速学長に新しい部屋聞いてくる! そうだ、持ち物も全て返さなくてはな。店に買い物に行けるんだぞ、凄いと思わないか、セルウィ? ふはははついて来たいといっても却下だ! 王子と一緒だと足元見られるからな! ああ、お前の言うとおり、友人を作っておくべきだったな。今からでも平民を紹介してくれないか? 店の場所を知らないと何も出来ないからな。料理や洗濯の方法も教えてもらわないとな。一人暮らし万歳!」
「……そうか」

 色々と重大な情報が次々と飛び出る。
 王位継承権を持った人間が着いてきて良いのか、とか、勘当って本当なのか、とか、変態紳士って何だろうとか。
 だが、ラーグは今までが比べものにならないほど生き生きとして楽しそうだった。
 その瞳はキラキラと輝き、楽しそうに未来を語る。
 
 持ち物も全て返却すると軽く言うラーグに、公爵家への未練など欠片もなく。
 ひたすら喜ぶラーグの後ろで、ラーグに仕えていた者達が絶望を浮かべていた。

 とはいえ、私はラーグを優先すると決めている。
 ここまで来たら、ラーグを連れて行けるように根回ししようではないか。勘当と言ったのは向こうだし、ラーグは公爵家では多分幸せになれない。
 こちらで見つけた側近候補のクレイドルを呼び、ラーグを任せる。

「俺が慣れるまでの間、迷惑をかけるがよろしくな、クレイドル!」

 ひゃっほう! とか父上の迂闊め! とはしゃぐラーグを落ち着かせる。
 部屋を出て何もない第二寮で金貨をまだか! まだか! と待つラーグにお金を貸すと、早速クレイドルに通貨の単位のレクチャーを受けていた。
 心配になる姿だ。クレイドルにくれぐれもよろしく頼む。



 翌日の教室で、ラーグと再会したとき。
 私は息を呑んだ。ラーグが、公爵家の男が、襤褸を着ていたからだ。
 特待生であり、あまり裕福ではないクレイドルよりもまだ質素な服だ。
 それでも、ラーグは笑顔を崩さない。

「セルウィ! 昨日は助かった。クレイドルも、ありがとうな」
「ラーグ、随分思い切ったな……」
「何が?」
「服だ」

 ラーグはきょとんとした顔で、服と平民を見比べる。そのラーグの様子に、私は恥ずかしくなった。私もまた、貴族として思い上がっていた。平民の着ている服を襤褸などと!

「そうか、センスか……! いや、これはこれでいいんだ。俺は変態紳士を目指すから、服もそれっぽいのにしたい。具体的に言うと変人風味に」
「そうか……いや、いい。ラーグのそんな活き活きした目を見るのは初めてだ。望むように走ってくれ、ハニー」
「ありがとう、ダーリン。ところで、今日の放課後なんだが。しばらく図書館に篭ろうと思う。買い物もしたいし、服も作りたい。やりたい事が飽和状態だし、家事もあるし、悪いがしばらくお茶会ができないと思……」

 そこで俺は言葉を止めた。

「もしかして、平民になった俺と付き合うのまずい?」

 その言葉は、まるで雷のようだった。
 私の脳裏に、必死の根回しや取り巻きの懐柔などの工作がよぎる。

「これだけ手間をかけさせて、もう用無しだからいらないと言ったらお前を殴る、ハニー」
「冗談です、ダーリン」
「落ち着いたら部屋に来い。週一で来い。必ず来い」
「はっ」

 ラーグが従者の真似をして、びしっと敬礼する。
 もう、ラーグは死人ではなかった。ぴちぴちの、希望溢れる学生だった。
 見守っているラーグの側近達が不憫でならない。
 ラーグにとって、自分の周囲は不要なものでしかなかったのだ。

 そして、不要なものリストに自分も入っているかもしれない。
 ラーグが来ないと、そんな考えに囚われる。
 このまま、平民としてラーグは1人幸せに暮らすのだろうか。1人だけハッピーエンドを迎えて、あんな風に目を輝かせて、私なんて思い出しもせずに……。

 悶々としていると、クレイドルがラーグの首根っこを掴んできた。
 そして、私はラーグの顔を見るとほっとして説教をしていた。私にそんな権利なんてないのにな。
 クレイドルは、ラーグのことを良く言ったりはしないが、ちょくちょく様子を見てフォローしてくれている。
 そしてラーグは普通に周囲と話すようになっていった。
 時々料理を失敗して腹を壊すが、そんなことさえ笑い話にしていく。
 ラーグはかなり適応していて、そもそも初めの買い物ですら、ベテランの主婦のようにあらゆるものを安く買いたたいていたそうだ。
 その後で、ラーグの側近が追加の代金を支払っていったそうだが。
 ラーグの側近には、この頃頭を下げられた。
 そして、公爵からは手紙を貰った。やはり、ラーグは愛されている。
 ラーグの継承権は放棄させるので、頼む。手紙にはそう書かれていた。少し、ラーグが羨ましかった。
 その日も、ラーグとお茶をしていた。
 
「紅茶が美味い……。やはり平民と貴族じゃ食料一つとってもだいぶ違うな」

 美味しそうに紅茶を飲むラーグは幸福に溢れていて、微塵も後悔を感じさせない。

「そうは言っても、後悔はしていないんだろう? 毎日が凄く幸せそうだ。……周囲に一線を引いているのは相変わらずだが」
「あ、わかるか?」
「決定的に信頼してないのが丸わかりだ。というか、踏み込もうとすると人間不信だからとストレートに言って遠ざけるらしいじゃないか。話すようになったのは進歩だがな。不足していることはないか?」
「まだ一般人生活始めたばかりだからなぁ。不足といっても、よくわからないな。ああ、クレイドルはちょくちょく様子見に来てくれるから助かってる。ちょっと様子見に来過ぎな所もあるけど」
「クレイドルとは仲良くなれそうか?」
「んー……俺って人を見る目がないんだよ。だから、人を信じるのは怖い。俺を助けて、貴族に復活させて、取り入ろうなんて奴も近づいてくるだろうしな。セルウィの事も信じてるわけじゃないし」
「へぇ?」
「セルウィなら裏切られても仕方ない、とは思ってるけどな」

 ラーグは、時々凄いことを言う。それって、私相手になら傷つけられても構わないという言葉だ。その言葉に、私は戸惑う。

「それは……怒るべきか礼を言うべきかわからないな。しかし、そこまで人が嫌いか? 過去、何があった?」
「何がっていうか……なんていうかな。価値観を共有できる奴に会ったことがない。決定的に合わない。俺にとっては皆亜人みたいなものなんだよ。理解出来ないし、するつもりもない。色々あったって言えばあったな。たわいのない当たり前な事ばかりだけど、俺にとっては溶けこむのが無理だと思うほどには決定的だった。その意味じゃ平民も貴族も変わりはないけど、平民だったらある程度好き勝手しても許されるからな。まだ生きやすい方法を模索できる。とりあえず、商人でもやって金を稼ぎつつ、研究しながら生きようかなと思ってるんだが、売り物が問題なんだよな。鍛冶とか細工とか考えたが、弟子入りにはどう考えても遅すぎるしなぁ……」
「お前、俺の従者になるんじゃないのか?」
「え?」
「え?」

 しばし見つめ合い、私はラーグの口を引っ張った。
 公爵に託されたというのに、本人は1人で道を切り開くつもりだった。
 また、それが出来そうな所が余計に腹が立つ。着いてくると言ったのはお前だろう!

「いひゃい、いひゃいセルウィ! セルウィ、よく考えろ。自分の国で貴族生活に馴染めなかった俺が、隣国の貴族の中で生きて行けるわけ無いだろ」
「愛の力でなんとかしろ。そういえば、研究って?」
「あー。俺、小さい頃から魔法に憧れてきたんだ。けど、教わるのはくだらない攻撃呪文ばっかだろ? 色々試してみたいんだよ。魔法にはもっと色々な可能性があると思う。それに、農業とか、色々調べてみたいことはあるんだ。平民だと、大規模な実験はできないだろうが……そもそも貴族だと勝手な行動は認められないからな」
「そんな事は無いと思うが。つまり研究費用を出せばいいんだな」
「いいのか?」
「意地だ。ラーグを理解したい。ラーグの見るものを見てみたい」
「ダーリン!」
「ハニー!」

 抱き合って、ラーグは笑った。ラーグは本当に明るくなった。
 そして、この日を境に、図書室に籠もって怒濤の研究をするようになった。

二年目。
 一ヶ月目。ラーグはひたすら本を書いて過ごした。寝食を忘れるので、差し入れをいれるのが大変だった。
 二ヶ月目。ラーグはひたすら料理をして過ごした。今度はこちらが太らされる勢いだった。
 三ヶ月目。ラーグはひたすら地面に落書きして過ごした。地面を綺麗にするのはクレイドルの役目である。
 四ヶ月目。ラーグはひたすら縫い物をして過ごした。私は材料の買い出しに使われた。
 五ヶ月目。ラーグはひたすら工作をして過ごした
 六ヶ月目。ラーグはひたすら踊りと歌を練習して過ごした。
 
 そして、七ヶ月目。何をするつもりか事前にわかっていたら、絶対に止めていただろう。
 校庭に呼び出された私は、ラーグの声を聞いて上を見上げて、屋上の縁に立つラーグに肝を冷やした。鳥のような珍妙な格好など、全く頭に入らなかった。

「ラーグ! 落ち着け! 落ち着いて下がれ!」
「俺は……鳥! 今太陽に向かって羽ばたく時!」

 ラーグの体が傾ぐ。

「聞け! くっ誰かシーツを持って来い! ラーグを受け止めるんだ!」
「とうっ」

 ラーグは、羽を広げて屋上からダイブする。
 鳥の格好をすれば飛べるとか言うわけではないよな!? ラーグ!!

「馬鹿っ ラーグ!」

 駆け寄ろうとして周囲に取り押さえられる。顔から血の気が引いた。


 ラーグが、飛んだ。

 ラーグはゆっくりと滑空しながら落下していき、鳥を模して大きく膨らんだ着ぐるみの腹の辺りが地面にザザーッと接触・滑り、パタリと翼が落ちて止まった。
 そう、ちょうど足下に。
 しばし、沈黙が落ちる。

「ぴよ! ぴょぴょぴょぴょぴょ!」

 ラーグが断末魔のように叫んで暴れるから、びくっとなった。
 よっこらせとラーグは起き上がる。
 何事もなかったとでも言うように。

「あー、腹の布が破けてる。繕い直さないとダメだな。今日は実験終わり。おつかれー」

 私は、右ストレートを放っていた。

 外交問題なのだが、勝手に涙が出てどうしようもなくて、ひたすらラーグを罵倒する私に、周囲は完全に引いていた。
 それだけ心配を掛けたのに、ラーグは屋上からのダイブをやめなかった。

 わかる。わかるよ、ラーグが画期的な研究をしていると。
 人間が飛べるようになれば、世界が広がる。それは革命と言って良い研究だ。
 それでも、心配するのが悪いと誰が言える?
 ラーグに罰を与えるのは当然のことだ。
 一回失敗して怪我した時、心臓が止まるかと思った。
 八ヶ月目。ラーグは、私に頭を下げて手伝いを頼んだ。こんな風に頼られるのは初めてだった。危険なことはしないと約束して、快諾する。
 そうして、ラーグは地面に大きな魔法陣を書いた。

「えっとだな。俺がカモーンカモーンと言ったら、一人がこの魔法陣の欠けた場所から入る。で、俺の真似をしてくれ。それを繰り返し、準備が整ったら俺が魔法陣を閉じる。そうしたら、踊りながら俺の唱える呪文を繰り返してくれ。後は空気を呼んで行動して欲しい」
「妙な魔法陣だな……まあ、屋上からダイブするよりいいが。攻撃呪文ではないんだな?」
「そうそう。まあ、やってみようぜ」

 ラーグは魔法陣の欠けた部分から入り、くるくると魔法陣の内周を回りながら魔法陣を起動していく。そして、術を唱え、私に向かって両手で手招きした。
 なんだかドキドキするな。

「カモンカモーン」

 私は、事前に練習したように踊りながら魔法陣を起動し、取り巻きに手招きする。なんだかちょっと楽しい。

「「カモンカモーン」」

 やがて取り巻きも全て魔法陣に入る。ラーグは、更に人を招く。
 いつのまにやら集まっていた見物人が、え、俺らも参加しろと? と困惑した時。
 私達がカモンカモーンと更に言ったその時。
 虚空から現れた小さな犬が魔法陣に駆け入ってきた。
 何事も無く踊りを続行するラーグ。

「カモンカモーン」

 犬も尻尾をふりふり招く。可愛い。
 すると風の精霊らしきものが魔法陣に入ってくる。
 次は火。
 驚く。しかし、踊りはやめられない。大事な儀式だとすぐわかった。
 止めると何が起こるかわからない。
 ラーグが踊りながら魔法陣を閉じようとした時、いきなり足元を雷撃に吹っ飛ばされた。
 思わず驚くが、ラーグは気にせず踊り続ける。ただし、閉じる踊りではなく招く踊りだ。
 そして雷が入ってくる。
 そして、ラーグが魔法陣を閉じ……ようとすると、足元が凍る。
 また、ラーグは招く踊りを踊った。
 そんなこんなで、魔法陣の中がきつくなってきた頃ようやく閉じることが出来た。
 神聖っぽいのも邪悪っぽいのも魔獣っぽいのも精霊っぽいのもごちゃ混ぜで、全員で踊り狂い、歌い狂う。
 どんどんと魔力が抜けていった。
 ふわり、と魔法陣の中で踊る者の衣装が変わっていく。
 火の粉や雷、雪が舞い、美しい衣装が翻る。
 いつのまにか、音楽が鳴っていた。魔法陣の外で人外達が楽器を鳴らしてくれているのである。
 ラーグが、七色の羽根を生やす。
 そして最後に、その全ての衣装や飾りは色鮮やかな光として解放されていった。
 終わりの合図として、俺がお疲れ様―と言いながらすごい勢いで拍手すると、皆拍手した。

 これが。
 これが、ラーグが見ている世界。
 私が見たいと言って、ラーグが見せてくれると約束した、ラーグの世界。

 感動の中、精霊がラーグに問いかける。

『召喚は叶いました。それで、貴方の目的は何ですか?』
「え。一緒に踊ろうって。術の実験目的もあったけど」
『望みはないのですか?』

 ラーグは首を振った。そこに欲望は微塵もない。

「今願ったら、皆で集まって楽しい気分に水差すからやめとく。ありがとな。また遊ぼう」
『望みは遊びに使える語彙ですか。よろしい』

 人外がラーグの頭に手を突っ込んで消えていく。
 ラーグが倒れ、私はラーグに駆け寄った。

 ラーグは意味不明の歌を歌い続けるようになり、正気を取り戻すまで一ヶ月かかった。
 危険なことはしないという約束だったじゃないか!

 一ヶ月、ラーグを休養させる。
 
 この時、私はラーグが好きだと気づいた。これが恋かはわからない。
 ただ、ラーグがどうしようもなく好きで、失いたくないのだ。

 私は自分の気持ちに戸惑い、ラーグが元気になったのもあって距離を置いた。
 ラーグが復活してまた神童に戻ってしまえば、隣国に渡してなるものか、となるのは当然のことだ。その方が、ラーグも幸せなのかもしれないと思った。

 馬鹿だった。

 クレイドルから呼ばれて、ラーグの元に駆けつけたときには、ラーグはまた生ける死体になっていた。

「ああっ もう、手の掛かる!」

 歌を歌っていたときより酷い。
 ラーグは、私の手からしか物を食べなかった。
 心配する一方で、背徳的な喜びが私を支配する。私とラーグの絆は、歪んではいても疑いようもなかった。

 十一ヶ月目。
 私以外の人気が消えた途端、ラーグは元気を取り戻した。
 今までが演技だったのかと思うほどだ。
 ラーグは俺はやるぜと連呼しながら、鳥の着ぐるみを着て屋上から飛び立った。
 直後、勢い余って見事他の棟の壁に激突し、テラスに落ちた。とりあえず踏んでおいた。

 十二ヶ月目。
 ラーグは新たに得た語彙を駆使して、予め登録した気障な言葉とポーズで周囲に花が散る術を獲得した。
 登録した言葉は「イエスロリータノータッチ」「変態紳士ラーグ、只今参上」「美しい……」である。
 思わず笑ってしまった私は悪くない。
 そういえば、ラーグは攻撃呪文はくだらないと言っていた。
 世界が全てラーグのようならば、きっと平和だろうに。いや、それはそれで地獄かもしれない。
 ああ。でも。
 ラーグ。好きだなぁ。好きだよ。婚約者よりも好きかもしれない。危険なほどに。


 私達は三年生になった。
 ラーグは入学式に空を飛ぶ暴挙を犯した。新入生の前でゆっくりと滑空し、別棟を華麗にカーブで避けて、腹からずしゃっと着地した。もちろん、いつもの鳥の着ぐるみである。

「ぴよっ! ぴょぴょぴょぴょぴょ!」

 意味もなくバタバタする。
 眼の前に、ドン引きしたこの国の王子、シェスジラートがいた。
 まず、変な鳥に驚いた顔。そして、それが従兄弟と知って驚愕した顔。そして、困惑した眼差しがラーグに突き刺さる。
 ラーグは立ち上がり、右翼を持ち上げた。

「楽しい学園生活を! イエスロリータ、ノータッチ!」

 魔術で周囲に薔薇をばらまき、そして翼を広げてダッシュ……鳥は捕らわれた。

「自然は大切に! 鳥も大切に!」

 バタバタと羽ばたくが、全く逃げられない。

「たわけ。随分楽しい学園生活を送っているようではないか。噂は聞いている。公爵が心配していたぞ」
「楽しんでいるんだからいいではないですか」
「ふざけるな。私も混ぜろ。後ほど教室に行くからな!」

 どうやら、今年は騒がしくなりそうだ。
 私とラーグのことを聞いて回るものが、今年はかなり多いらしいし……また、ラーグを生ける屍にされては敵わない。しばらく、出来るだけラーグの側にいることにしよう。
 それに、私はシェスの目を思い出す。
 なんだか、嫌な予感がするんだよね。

しおり