第五話 汝南の虎
許昌を狙う黄巾賊残党との戦い後、関平は曹操から離れて荊州には黄忠一人が家族を迎えに行き、兵を養い国を得る為に、まずは汝南に向かい荒らし回っている黄巾賊残党との戦いに明け暮れた。
最初は最大勢力である
だが、林や森に潜み投げ網で敵を捕えて襲う技に長け関平軍の軍需物資を奇襲で奪い多大な損害を受けた。
そこで、関平の軍師沮授はある策略を持って破る事にした。
それは、輜重隊三十台の荷物の中に兵を潜ませ、襲撃を受けた後、あっさり退却し、馬ごと荷を奪わせて黄巾賊残党の砦に運ばれた後、夜に中で火を放ち、混乱している所を夜襲をかける事である。
この策略は成功し、死傷者と逃亡者を除けば七千人の黄巾賊残党の捕虜を得た。
その時に、黄巾賊首謀格の劉辟達三人も捕え。
関平は説得をした。
「お主達は賊などより兵を任す武将に相応しい俺の家臣となり汝南で旗揚げしないか? もし、家臣になるなら働きに応じて褒美と地位を約束しよう」
「ありがてえ」
「仕えるだ」
「喜んで」
汝南最大勢力の黄巾賊残党を配下にすると、残りの小さな黄巾賊残党はあっさり降伏して傘下に降った。
更には、在野にいた武人や賢人も家臣になる事もある。
例えば
関平は深々と礼をし。
「この者は俺達が仕えるのに値するか? 試して居られるのだ。試しに沮授、知識で競ってみよ」
「面白い。この沮授受けて立ちましょう。もし、負けたならば軍師の地位を譲りましょうぞ」
知識で競わせ沮授は負けてしまった。
しかも、戦術、戦略、内政、全てにおいて。
俺はこの結果を想定していた。
龐統は中華で五本の指に入る軍師である事を過去の記憶で知っていたからである。
「私の目が曇っていたようだ。龐統殿、私に代わり軍師になって下され」
「沮授殿も気を落とされるな。儂は
「あの鳳雛が龐統殿ですと!」
「知って居られたのですか?」
「
「沮授殿にそこまで頼まれたなら無下に出来ぬ。喜んでお受け致しましょう」
この龐統が軍師になる経緯は故意に汝南や周辺諸国に広めて、優れた智者や武勇に秀でた者が仕官に来る様になる。
また、牛を一頭、片手で地面に引きずりながら運んで献上に来た剛力の武人
治世としては汝南から黄巾賊残党を駆逐して奪った財貨の中で民に
関平自ら陣頭に立ち。
「升に山盛りの種籾を貸そう。返す量は山盛りにする必要は無い。升に一杯入れば良い」
民は歓喜を挙げて殺到して借り受けた。
「儂に三杯!」
「おいら五杯!」
当たり前である。
余った分の種籾が己の物になる。
文官も不足していたので立札に法を書き。
「この法に一字足したり引いたりした者であれば誰でも銭を与える」
民の中に文字を読める者が集まり、その中でまともな文官も増えた。
こうして人気を集めて治世や人材登用を行い、いつしか関平は民に称えられ汝南の虎と呼ばれる様になる。