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第77話 呪いに魔法を、この身に裁きを

 タケシやらトロイノイやらが今昔マギヤ談義をしている最中、マギヤとタケシの部屋のドアの前の廊下で白く丸いスライム、ワルスが瞬間移動(テレポート)で現れる。
 部屋に入る直前、ワルスはドアのすき間から覗く目の前の床や視線の先で広がる一面のチリを気にして、まずは自分が収まる分の床のチリを除くべく粘着スライムを先行させ、粘着スライムがどいたあとをワルスが通る。

 部屋に入ってからは、床のチリの量に対して使える粘着スライムの量が足りないため、ひとまず床との接地面積を減らすべく、一度縦長になってマギヤの体へ向かうことにした。
 学習机及び二段ベッド周辺の床はマギヤが捨てた課題とかで溢れていた。
 ワルスは、カレンダーを見ながら課題とかに書いてある提出期限が早い順に、課題を自分の机に並べつつ、マギヤに戻ったら部屋を掃除しなければと心に決めた。
 課題を並べ終え、役目を終えた粘着スライムをゴミ箱に入れ、こちらに背を向けて寝転ぶ自分(マギヤ)の体を少し眺めたあと、その背中にワルスは入り込んだ。


 視界がマギヤの背中から壁とベッドのすき間に変わり、ゆっくり起き上がろうとする。
 ……起き上がれたということは、私はちゃんとマギヤに戻れたということですね。
 室内履をはいて立ち上がり、ペン立てにあるハサミを手に取り、ゴミ箱の上で髪の毛先数ミリを切るとちゃんと髪が切れてゴミ箱に落ちる。スライム化も解けた、と。
 さて、床掃除に……明日シーツや枕カバー等を洗わせるための用意もしないと。

 明日学園に提出する課題に取り組んでた所、タケシさんが部屋に戻ってきて、以前までの(マギヤ)を鑑みてか「もう大丈夫なのか?」と尋ねてきました。
 私は「大丈夫じゃなかったら、こうして机に向かってませんよ」と答えつつ課題を続けました。


 その明日たる今日、私はなんとかウリッツァとヴィーシニャさんに、これまでの非礼や諸々を謝罪しに行きました。
 アーサーの時と違って、土下座は無論、過度な自己卑下もなく、誠心誠意謝罪することだけを考え、頭を下げました。
 さらに、私を本格的に親衛隊から追放させたり、この命を処刑(すて)させたりして償おうかとも提案しましたが、どちらもヴィーシニャさんに止められてしまいました。
 昨日眠る前、あのお方の三つ石キーホルダーに一点も黒が無かったので……あの呪いに私の魔法が足されていることですし。

 ヴィーシニャさんに言った、私もといマギヤ・ストノストの心臓が二十四時間以上止まるとトロイノイが私のあとを追うように死ぬ魔法というのは、
 あの人の『聖女殺しの血縁者探しが続く五年間トロイノイがあの人の血縁者だとDNA検査などでバレて死刑にならないようにする』(まじな)いの『五年間』の部分が『私もといマギヤ・ストノストの心臓が二十四時間以上止まる』に変わった、ということなのですが……ヴィーシニャさんにトロイノイの呪いから話すのをやめた結果、あんな説明になって……まあ、それはいいとして。
 死が認められないなら、私はそれらとは別の、聖女にひどいことをした報いを受けるべきでしょう……さて、何があったか。

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