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第74話 今昔マギヤ談義と、細かすぎるし行使機会省かれがちな班の人事制度

 至急を「ききゅう」や「子宮」と言い間違えというか打ち間違えられながらロリアスが指定した小会議室へ向かうタケシとプリストラ。
 といっても、小会議室自体、いやらしくない夜伽などのための班内会議や班長会議や副班長会議などで、たまに使う場所なので合流後の移動は瞬間移動(テレポート)で済んだ。


 タケシとプリストラと、ロリアスが事前に待たせたというトロイノイやメルテルの四人と、ロリアスの二頭身人形一体が小会議室に揃ったところでタケシは、ロリアスにメッセージを見てから少し気になっていた疑問をぶつける。
「そういえばロリアスって妙に聖女邸の部屋とかに詳しいけど……やっぱプリストラとかから聞いたように人形とか派遣してたからか?」
「それもちょっとはあるけど、キミらの代って増員派遣制度ないの? まさかボクのせいで廃止に……?!」
 班内の人事マニュアルに書いてた気はするけどよく覚えてない、などと答えるタケシ。
「んもう結構大事なことだよ、タケシくん。
今日聖女警護の当番なのに班員が風邪とかで寝込んでるとか、ちょうど今みたいにもう一人の班員が仕事しないとかな時に、短期間聖女警護をしてもいい一般生徒を募れる制度があるの! ボクの学園生時代の合法なお金儲け手段の一つだったんだから! マギヤくんがまた学園行きたくないとか言うかもしれないから部屋に帰ったらちゃんと人事マニュアル確認してね……って、ボクが四人を集めたのはそんなこと言うためじゃなくて!」
 そう言って、だんっ、とテーブルを踏み鳴らしたと思いきや、踏み鳴らした部分を傷付けてないか軽く確認したあと、改めてロリアスは用件を話す。

「皆のマギヤくんへの認識や今まで知ったあれこれについて共有したくて集めたの」
 トロイノイから「ウリッツァやヴィーシニャは、いいの?」と尋ねる声があがる。
「マギヤが傷を治したらしいとは言え、まだ本調子じゃ無さそうだから連れ出すのはやめたんだ。それに昔のマギヤと、二人やトロイノイと会ってからのマギヤは結構違うし」
 そうウリッツァの事情等を話すプリストラ。
「ヴィーシニャもちょっと訳ありというかなんというかでこっちには来れないよ。……ここに来る直前、マギヤくんの思考や視界をちょっと見たときさ、どっちも二つずつあったんだよね。一つはタケシくんとの部屋の壁を見ながら昔のことを考えてて、もう一つは……あとで本人が言うかもしれないからボクからは言わないでおくよ」


「――かつてマギヤくんの心を監視してたボクから言えることは……マギヤくんに接するときは、侮りすぎず、己の嫌な予感を信じて、付かず離れずの距離でね!」
 そんなテレビを見るときは部屋を明るくして……みたいなテンションで、ロリアスは言う――モンス島にテレビの類があるかどうかはともかく――。
「マギヤくんと深い付き合いをしたいとしても、嫌な予感とか違和感とか感じたら気をつけた方がいいよ。
とにかく、マギヤくんを絶対なめ……侮っちゃだめ。
ボクは侮ってたおかげで自分には恐怖の概念があるってことに気付かされたんだから……ほんとあれを知った時点で警戒すべきだったって」
 あれって? と尋ねるメッセージを送ったのは、ここにいるメンバーでマギヤとの付き合いが比較的浅いメルテル。
「体に虐待の痕跡はなし、プリストラやエニスくんとかの話を聞いてても栄養面や経済面に問題は無さそうなのに、熱処理の甘い野良蛙を食べた理由だよ。なんて言ったと思う?」
 なに? と、ここにいる魔王因子持ち以外が尋ね、ロリアスが幼かったときのマギヤに声を寄せて答える。
「『パパもママもボクを見てくれるから』。お腹痛めてるって言うのにまっすぐこっちを見てきたのと、ボクがとりあえず言った『もうこういうことしちゃダメだよ』みたいな言葉に、やけに嬉しそうに『うん!』ってうなずいてきたのを覚えてるよ……」

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