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第72話 くっ……拒め!

 翌朝、マギヤとウリッツァが数ヵ月もとい数節越しに二人で会っていた。
 最初に口を開いたのはウリッツァだった。
「マギヤ……そのほっぺのガーゼ、どうしたんだ?」
「昨日、私が昔やった悪行を告白したらアーサーに殴られました。
初めてまともにアーサーの拳を受けましたが……なかなか重い一撃でしたよ」
 ウリッツァの何気ない問いに笑って答えたマギヤに対して、ウリッツァは改めて自分を呼んだ理由を尋ねた。

「私、前に言いましたよね、私がウリッツァに振られるにはどうすればいいか考えた結果があの強姦だって。
それで……貴方の返答を聞くのを失念していたなと……ほら、『乱暴する|私《おまえ》なんか嫌いだ』とかなんとか言ったらどうですか」
 そう言うマギヤにウリッツァは、
「確かに……乱暴なのは嫌だけど……オレ、ヴィーシニャと正式に結婚して聖女邸を出るまでならマギヤの思いに応えても……いい。……中途半端が嫌ならヴィーシニャと別れても……」と言う。

 そんなウリッツァにマギヤは
「なぜそう言えるんです?」「私が言われたいのはそんな言葉じゃない」「根本から間違っている」などと敬語も忘れて切り捨てる……言動的にも、……物理的にも。
 いや、物理的な切り捨てるとは、斬った後そのまま放置することだそうだから、氷の刃でさらに切り裂いたり、ぶち込んだり、泣き笑いながら腰を前後に動かしたり――――傷を癒やしたりしない。

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