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第10話 わらわは♂これで魔王をやめました(15)

 まあ、こんな感じで微笑んでみせるのだ。己の耳まで裂けた口の両端を吊り上げ意味深……。苦笑して見せる、だけではないのだ。

「この世──。この世界一の宝と言うのは、お主じゃ、ルシファー。お前の事じゃよ……」と。

 たぬきの御老体は、自身の娘である魔王さまへと、麗しいから、お前がこの世界一の財宝だと説明をするのだ。

「えぇ、えええ~。ウソ~⁉」

 まあ、当たり前のことだけれど。麗しい魔王ルシファーは、己がこの世界一の財宝だと、父である前魔王、佐多名衛門の助(サタナエモンノスケ)から聞かされて驚愕──。

 もうそれこそ? 彼女の美しく妖艶に光輝く、唇が開いて閉まらないほど呆然とするのだ。

 う~ん、でもね? そんな魔王ルシファーさまのことなど気にもとめずに、彼女のお父上さまである前魔王、佐多名衛門の助(サタナエモンノスケ)こと。たぬきの御老体はね。

「一樹~。お主の前にいるルシファーが。儂がお主に説明をした。この世界一の財宝だから。お主にやる。だから大事にして可愛がってくれのぉ~。一樹~。よろしく頼む……」と。

 たぬきの御老体は相変わらず何も気にした素振り。


 そう、若い二人の気持ちも考慮しないで、安易に告げる。


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