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第9話 魔王と勇者見習い(6)

 だからだろうか?


 自身が『魔王だ!』と告げた。妖艶、官能的な、本当の魔王さまの容姿端麗……。


 まさに! 女神!


 ……でなはく。妖艶、官能的な魔王さまは、自身の目の前で、こんな意味不明な独り言と、不穏な行動をされれば彼女の美しい容姿が、更に勿体無いものへと変化──。

 そう、魔王さまのお綺麗なお顔の中心──。眉間へと皺が入り。怪訝しい表情へと更に写り変わり憤怒し始めるのだよ。

 ああ、勿体無い! 勿体無いと思うくらいにね。


 だって一樹の目の前──。彼といつでも接吻を交わすことができるほどの近接した位置にいる彼女は、魔王さまと言っても。天界に多々御住みになられている豊穣神の女神さま達と何ら変わらぬお顔といで立ちを持つ魔王さまなのに。自身の額の眉間に皺を寄せながら怪訝しい表情。不満をあらわにするのは、傍から誰が凝視しても勿体無いと思う。

 でも彼女の目の前には、自身の父の敵だと申している勇者がいるし。魔王と勇者の二人は、相まみえる存在ではないから。

「勇者~! 貴様~! 何をブツブツと独り言を漏らしている~? と、言うか~? 勇者~? 貴様は誰に話しかけているのだ~?」と。

 彼女の目の前にいる一樹へと罵倒を放つ。

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