バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第59話 聖女さらい達が伸びてるって、それはないでしょう……。

 なんということでしょう。とある休日の昼下がり、タケシ班とヴィーシニャさんで出かけていたら、メルテルさんとヴィーシニャさんがさらわれました。
 私、マギヤ・ストノストが殿(しんがり)として二人の後ろにいたし、よそ見をした覚えも無いというのに、私の視界に入らず人をさらえるなんて、なんという犯人でしょう……。
 今日はヴィーシニャさんがちゃんと、私の監視魔法のかかったペンダントをつけていたおかげで、居場所の特定は一瞬で済みました。
 けれど、肝心の居場所が、残っている全員の誰もが訪れたことのない地域だったために、瞬間移動(テレポート)が使えず、
現地に着いた頃には、メルテルさんらをさらったと思しき人達が八割がた伸びてたり(つる)で拘束されたり、残りの二割も何かに怖気づいていました。
 植物を操る魔法……ヴィーシニャさんやメルテルさんの土魔法適性では、こんなことできないはず……あれは土適性がA以上ないと……土適性A以上と聞いてあの人以外が思い浮かびませんし……どうなんでしょう。
 班長のタケシさんの指示通り、伸びてる人達の一部を警察本部へ瞬間移動させるついでに、あの人の行動を見直したら……あの人でした。

 ……私が監視魔法を使え(こんなことでき)るそもそもの理由。
 それは、両親があの人に殺されて以来、あの人への強すぎる執着からあの人の死後どこにいるかすらも見えるようになっていると、あの人とは別の医師にして私の現主治医が言っていました。
 ……最初の頃は、あの人の思考や行動などが終始見えていて、首が圧迫されたり絞まったり水などで息が出来なくなる感覚や、自らから多くの血が出ていったり、ただならぬ高所から落ちていったりしたのを視認したり体感したりして気を失ったこともありましたが、髪を縛っているときは不思議と見えも感じもしないんですよね――あの人の行動を見ようと思えば見れるのですけど――。
 まあ、それも起きて縛っているうちだけで夢見は悪いままで眠れない日々を過ごしていたのを……思い出します。
 あの人(こちら)に発砲される夢を見て以降、気付いたら体育の授業や体育祭などで使う号砲を凍らせたことは一度や二度で済まなかったですね。
 あの人とトロイノイ以外に、くん付けされるとキレるらしい私を配慮して『さん』付けを徹底しても、号砲は私が初等部を終える頃まで使ってましたからね。

 ……昔のことはどうでもいいでしょう、それよりも……。
「二人とも、ご無事でなによりです」
 後ろで両手首を魔法耐性のある縄で拘束されていたのを除けば、特に何もされなかったというお二人。……あれらの死は避けられそうですね。まあどうなろうといいんですけど。
「あのーマギヤ……こっちの縄もほどいてくれない?」
「……その結ばれ方なら、こう動けば、ほどけますよ」
「まさかのセルフサービス……」

しおり