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第6話 トホワの両親

 「なんでそんなに無駄遣いできるんですか?」
無駄遣い?確かに八百万円をいきなり使うなんて無駄と思われるかもな。
「確かに金は有限だが、金よりご飯のほうが重要だと思わないか?」

 「すみませんカラーさん、私そんな大金見たことなかったので、動揺してしまいました」
と言って泣いてしまった。

 私の無駄遣いがそんなに嫌だったのだろうか。
「ごめんトホワ、これからは節約するから泣かないでくれ、お前に泣かれると困るんだよ」
自分の中で限界まで優しい声を出した。
でもトホワは泣き止んではくれなかった。
 五分くらいひたすら謝っていたら、トホワはだんだんと泣き止んでくれた。
よかった、ここから一人になったら色を探しに行けないところだった。


 「すみませんカラーさん、私の親は両方とも勇者だったのですが、ある時を境にだんだんと姿を見せなくなっていったんです。
そして数カ月たつとお金が底をつき始めてしまって……。最初は周りの人たちから助けたりしてもらっていたんですが、
私の両親が帰ってこなくなってきたから一年くらいしたら、だんだんとみんなから避けられるようになってしまって、それで家具を売ってギリギリの生活をしていたんです。
だから、誰かと一緒にいられることがあまりにもうれしかったので泣いちゃいました」


 まさかトホワの両親が勇者だったなんて。
俺はどんな言葉をかけようか迷ったが、彼女の顔を見たらすぐに決まった。
「安心しろ、お前がどんなことをしても必ず守ってやるから」
これでよかったのかはわからない。
でも、俺の気持ちを伝えるなんて何年ぶりなのだろう。
そう考えると、ホトワと俺のおかれている環境はある意味似ているのかもしれないと思った。

 「お待たせいたしました~」
遠くのほうからさっきのおじさんが走ってきた。
手には炊飯器のようなものを持っていた。
あれがこの世界の炊飯器なんだろう。
「ありがとうございます、これでお願いします」
「へい、確かに。ありがとうございました」
そういっておじさんは嬉しそうに帰っていった。
五百万円くらいのものが八百万円くらいになったのだから当たり前なのかもしれないな。

 「カラーさん、その屋台私に持たせてくれませんか?」
そういえば、トホワからお願いされるのは初めてだな。
「でも、この屋台は重そうだし……」
俺は断ろうとしたのだが、トホワはあきらめなかった。
少し迷ったが、トホワに
「カラーさんの役に立ちたいんです」
といわれてしまったので、屋台を渡した。
さすがにまた泣かれてしまったら俺も参ってしまう。

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