<第26話> 自分を鑑定! そして、
全ての魔道具の指輪の整理が終わり、左手人差し指に装着している鑑定の指輪自身を目にした時、ふと思った。
自分自身を鑑定するとどうなるのだろうか?
やっぱりステータス表示と同じような内容が表示されるのだろうか?
そんな思い付きのまま、何の気なしに自分の右手のひらを見ながら鑑定を試してみた。
すると、
名称:アトラス(白耳のマッピー)
種族:四つ耳族(猫)
性別:男
状態:呪い(肉体改変、精神退行)
と出てきた。
ステータス表示より項目は少なく、得られる情報はそれほど多くなかった。
しかしながら、見逃せない情報が表示されていた。
(ん? ”状態:呪い”は分かってるんだけど……、何このカッコ書きの最後!)
(ええぇっ? ”精神退行”? もしかして、精神的に幼くなってる?)
(肉体改変は、多分”著しい身体的変化”ってやつだと思うんだけど、”精神退行”ってどういうこと?)
ちょっとパニック気味になりながら、目を閉じて香箱スタイルで目の前をフヨフヨ浮いているタマに話しかける。
「ねぇ、タマ、タマ、大変大変! 僕、精神退行してるっぽい!」
(あれ? そういえば、今気づいたけど、知らぬ間に一人称の呼び方が、【私】から【僕】に変わってない?)
(いつもは【私】って自分を呼称していたと思うんだけど……、いつからだ?)
タマに話しかけながらも自身の言動の変化に気づいた。
『タマを呼んだかニャン?』
目を開けた顔だけこちらに向けてタマがお返事をしてくれた。
「うんうん、大変だよ! 今、自分を鑑定してみたら、何だか精神退行してるって出てきて……。タマ、なぜなのか分かる?」
『よく分からにゃいニャン。』
「そっか、そうだよね、分からないよね。」
呪いの元凶というか、張本人であるタマは、呪いについて詳しく知らないようだ。
しかし、次にタマの口から出てきた言葉に衝撃を受けるのだった。
『でも呪いで体が若返っているんだから、気持ちも若返っていいニャン。』
「ん? それって、呪いの”著しい身体的変化”って、若返りってこと?」
『そうニャン。』
「え? えぇ~、聞いてないよぉ~!」
精神退行の影響か、平成初期に一世を風靡したギャグがナチュラルに口を衝くのであった。