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191話 打ち捨てられた村

 しっかりと準備を整えたあたし達は、馬鹿正直に街道を進んで帝都を目指している。

 隊列の先頭にはあたし達とバッジーナさん、セラフさん、そしてシャオロンがそれぞれパーティを率いて進んでいる。それに続いて守護者達(ガーディアンズ)、さらに後方にアインさん達が率いる騎士団、後詰めに戦士団という隊列だ。総勢千人近い精鋭たち。

「もうすぐ村がある。もっとも住民はみな王国へ避難しているから打ち捨てられているけどね」

 シャオロンが自嘲するように言う。

「でも夜盗とかの拠点になっているかも知れないから警戒はしておいた方がいいね」

 そうよね。お姉ちゃんの言う通り。ここはアイギスの出番だよ!

「バッジーナさん、全軍この場で待機、今の内に休憩をとらせて下さい。アイギスを偵察に出します。アイギス、お願いね!」
『にゃお!』

 一声鳴いて駆けだすアイギスを見送ると、バッジーナさんが号令をかける。

「全隊この場で待機! 周辺を警戒しながら休憩をとれ! 別命あるまでそのままだ!」

 おお~、流石は元職業軍人。手慣れてるわね、バッジーナさん。ショルダーアーマーの『百』の文字は伊達じゃないってね。

「それでは私達も元気の素を補充しようか」

 そう言ってメッサーさんが取り出したのは、特製ドラ肉ジャーキー。これ、すっごく美味しいんだ~♪

 先頭にいた各パーティに行き渡ると、みんなが無言になり咀嚼音だけが聞こえる異様な雰囲気。だってこれね、美味しすぎて言葉が出ないのよ。ステーキやバーベキューでも凄く美味しいけど、熟成させたお肉もまた格別なのよ~。

『シルト、戻りました』
「あ! お帰りアイギス!、まあまあ、これでも食べてよ」

 音も立てずに戻って来たアイギスに、ご褒美代わりのドラ肉ジャーキーを一切れ。あははは、一心不乱に食べてるよ。
 あたし達はお茶で喉を潤しながら、アイギスが食べ終わるまで待つ。待っている間にセラフさんが指示を出し、アインさんを呼びに行かせていた。デキる女って感じね!

『ふう、すみません。ご馳走様でした』
「やあ! アイギスが偵察から戻ったって?」

 丁度のタイミングでアインさんが現れる。

『では、報告します』

 アイギスの報告を纏めるとこうだ。

 まず、村には生き物の気配があった。それも少数ではなく集落を形成してもおかしくない程に。
 オークやゴブリンのように、コロニーを形成する魔物が村を乗っ取ったか。それとも大規模な盗賊団か。或いは魔王軍か。
 しかし、警戒して近付いたアイギスが目にしたのはあまりにも意外な光景だった。

『普通の村人でした。何やら開墾をしたり荒れた農地を耕したり。ぱっと見には普通の農村の営みに見えました』

「どこからか流れて来た難民が居着いたとか?」
「この辺りは王国との国境に近いし、帝都からもまだ距離がある。考えられなくはないね」
「でも村が打ち捨てられているんだから、ここも危険だって思うのが普通じゃないか?」
「それもそうだな……」

 アイギスの報告を聞いたみんなが様々な意見を出し合うけど、どれも今一つ決め手に欠ける気がする。

『皆さん。まだ続きがあります。その農夫たちは全員首輪をしていたのです』

 ――!!

 まさか……!?

『恐らくあの隷属の首輪に間違いありません』

 どういう事? 魔王があの首輪を大量生産して住民を奴隷にしている?
 って言うか、なぜ魔王があの首輪の効果を知っているのかしら? これは厄介だ。とんでもなく難易度が上がった気がする。でも。

「まずは村人救出ミッションね!」

 これをしないと始まらないよね。 

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