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04 殺戮 【R15】

「で、その割りの良い依頼って何なのよ?」

 そこに食いついてきたのは紅一点のサナだった。男2人は金勘定出来なそうだし、財布もサナに握られてるのだろうな、なんて想像したら、笑いが込み上げてきた。せっかくだからちょっと邪悪な感じにククク、と笑ってみる。

「俺が言うのも何だが、そんな依頼本当に有ると思っていたのか?」

 三人のポカーンとした顔。俺はついに耐えきれず吹き出してしまった。

「ま、まさか騙したのか?!」

 三人の目が怖くなってきたので弁明をする。

「否、騙してないぞ。俺の見つけた依頼は、間違いなくローリスクハイリターンのものだ。だが、三人とも俺が割りの良いと言った時にそれを信じていたみたいだから、悪い奴が相手だったら騙されてるぞって話だよ。つまり、三人をちょっとからかってみただけだ」

「全くもう! 驚いたじゃない!」
「僕も騙されちゃった」
「じゃあ、お前が言うところの割りの良い依頼って何なんだよ?」

 マシューが言ってきたので、俺は、マシュー、グレイ、サナの順に「森の調査依頼」と耳に囁いた。

「は?」
「え? 何で」
「どこがハイリターンよ?」

「やっぱりその反応か。ってことはやっぱりお前たちは薬草の知識はないみたいだな」

「「「薬草?」」」

「そう、薬草だ。その場所は……っと、これ以上は人のいないところで話そうか」

 俺は内緒のジェスチャをして、話題を切り替える。

「それよりも、報酬の分配はどうする?」

「その問題もあるのよね。そこらへんは私とビルドで話しておくから、マー君とレイ君は準備してきてよ」

「「了解!」」

 良いパーティだと思う。役割分担が出来ている。今はほとんど空気のグレイだが、彼にも何かしらの特技があるのだろうな。

 道中聞いた所によると、彼らにとってもこれが初依頼であるらしい。しかし彼らは驕ることなく万全の準備をして来ていた。

 改めていいパーティだ。でも運が悪かった。いや、俺にとっては運が良かった。

 俺に出会った彼等(カレら)は運が悪く、彼等(カモら)に出会った俺は運が良かった。






 冒険者への登録だってすることが出来た。

 三人がパーティメンバーになった。

 そこまでは万事順調だった。

 森の調査依頼を受けた。

 それは化物になった。

 俺達は殺された。

 二首の化物に。

 その名前は。





 初依頼は殆どの確率で成功するはずだった。そして彼らとも良い関係を築いていくことができるはずだった。

 剣使いのマシューも、盾使いのグレイも、魔法使いのサナも、良い奴らだった。

 なのに、なんで、マシューは自分の剣を喉から生やして倒れているのだろうか? いつの間に、グレイは下半身と上半身を真っ二つにされたのだろうか? 今、(ボク)が持っている、二つ結びの頭は誰の物だろう? そうだ。

 俺はマシューの渾身の突きを跳ね返した。グレイはサナの魔法で死んだ。サナは鋭く尖ったグレイの盾で。俺は気絶した。

☆★

 生き残った(■■)はあの森に、一人で倒れていた。何故かあいつらの死体も、血痕も残っていなかった。一瞬俺は別の森にいるのかと思ったが、戦闘跡からしてあの場所で間違いない。

 俺は街に戻って、そういう風に、ギルドへ報告した。即急に捜査隊が組まれ、即日で、俺の言い分が認められた。

 特別報酬として15000ディルも貰った。更に途中で採集した薬草を計上すれば、なんと17000ディル。そのほかに、捜査隊の報告次第で更に報酬の上乗せもあるのとことだ。



 ああ、なんて割りの良い依頼なんだろうか。

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