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第1話 プロローグ (4)

それでも代々続けてきた商いだから、父は頑張ってきたのだよ。まあ、社員の人達もいるけれど。特にうちのような地方の小さな問屋に、商品を納品してくれる製造メーカーの人達は、皆地方の小さな会社経営の人達なのだよ。

父は、そんな製造メーカーの人達を何とか守りたいと思っていたのかな? 代々取引をしてくれた人達だからと……。

でも父が死んで、僕に代が完全に代わると。更に販路が小さくなった──家の会社は。だからメーカーさんに、商品を沢山納品されても、僕には対処が出来ないから、『困るよ! 対処できない! 』と、僕自身が納品業者の人達に説明して述べたのに、業者の人達も、何とかしてくれと、僕にお願いするだけだから。本当に困ってしまったし、顔にも出ていたと思う?

それでも彼らは「お父さんには、良くしてもらった」と、言ってね。今迄通りで、何とかお願いしますと、だけしか述べてこないのだよ……。もう販路が弱小したうちの会社では、そんな大量の商品を納品するだけの力はないので。納品業者の人達に、新しい取引先を探してくださいと告げた。

でもね、彼らも必死なんだよ! 生活が掛かっているし、僕と違って、みなさん家族がいるからね。だから言ってくるんだよ。「そこを何とか! そう言わずに! お願いします!」と、ね……頭を下げてくる取引先の彼らに、僕はどうしたらよいのか分からないよ?

だからその日は帰ってもらった──それから後日僕は、会社の電話にも出ないし、携帯も出なくなったよ。最後はね居留守も使用した……。

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