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第十四話 統治と司馬徽

 翌年(197年)

 年の明けた春。

 北荊州の支配は劉表から関平に牧が代わり混乱しているので関平自ら民草や豪族に食料や銭を与えて慰撫していた。

 また、敵対する不穏分子の豪族や盗賊などを討伐を魏延、馬謖に任せ、伊籍、馬良は商人や軍勢が通る為の道の整備、屯田兵政策、孤児院、学舎を建て国力の増大を図る。

 軍勢に関しても今まで騎馬中心であったが敵対する劉表や蔡瑁のいる南荊州、領土拡大政策をとる江南の孫策に備える為、長江(ちょうこう)の船で戦う事を想定した甘寧や蘇飛に関平水軍を創設して戦船の増産と日夜訓練を行う。

 だが、急激な領土の拡大により、皆、昼夜を問わない忙しさとなり統治に支障が出て圧倒的に人材が足りない。

 関平は龐統に相談すると。

「ならば、襄陽に居る儂の師の司馬徽(しばき)という知識の豊富な賢者で、また有力者である人物が居る。気難しい爺さんだが真摯に説得すれば力になるだろう」

 助言を受けて訪ねる事にした。






 居られるという庵に向かうと中には六十代後半の白髪の老人に教えを乞う者、劉表を見限った者などが二十人程居た。

 礼を深く失礼の無い様に赴き。

「俺は関平と申す。司馬徽殿はいらっしゃるか?」

 老人は。

「儂が司馬徽じゃ。良くぞ参った。弟子の龐統が世話になっておる」

「実は……」

「理由は分かっておる。人が足りぬのであろう。そなたは北荊州を奪った簒奪(さんだつ)者故、皆、嫌ろうておる。だが、劉表殿を処刑しなかったのは英断でもある。良かろう。仕えても良いと思う者が居れば連れて行くが良い」

 関平は地面に頭を付けて平服した。

「皆様方に申しあげる。確かに俺は簒奪者だが、北に曹操、東に孫策、南に蔡瑁、西に劉璋。この北荊州は飢えた隣国の牙狼達に狙われている。このまま国政が滞れば、多くの民草が塗炭の苦しみを味わう。どうか力を貸して欲しい」

 助力を願うと。

 民草の為、ここまで恥も外聞も捨て、民草を想う主に、皆、心を打たれ感動した。

 そして、二十代後半の弟子達が応えた。

徐庶(じょしょ)にございます。お仕え致します」

伊黙(いんもく)にございます。喜んで」

「劉表は見限り旅に出ようかと思いましたが向朗(しょうろう)。お仕え致す」

 他の弟子達も。

「儂も」

「我も」

 この場に居る司馬徽の弟子全員が関平に仕えると申し出た。

「ありがたきしあわせ。皆、よろしくお頼み申す」

 こうして二十人程の弟子を家臣とし、大国としての力を発揮するようになる。







 関平の新たな家臣

 徐庶、尹黙、向朗など、司馬徽の弟子達

 

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